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伊勢神宮五十鈴川上流剣峠(2015/5)2016/05/25

何度繰り返して読んでも面白い「近畿景観」という本がある。戦前、大阪の出版社「創元社」が発行した風景史跡記録&旅日記。著者は大阪毎日新聞の初代写真部長、サンデー毎日編集長も務めた北尾鐐之助(きたおりょうのすけ)。谷崎潤一郎が推薦文を書いたりしている。

「阪神付近」「大和河内」「近代大阪」「紀伊伊賀」「京都散歩」「近江山城」「丹波但馬」「若狭紀行」「伊勢志摩」とシリーズで9巻まで発行されている。

私はこのシリーズをはじめ北尾鐐之助の著書は、どれも大好きだ。今となっては再現不可能な地域景観にタイムスリップし、覗き見ることができるからだ。

”覗き見る”というのがポイントで、旅して歩いて記録を残すにしても、民俗学者の宮本常一なら、地域の人へのリスペクト、同じ生活者としてのスタンスに貫かれた印象を受けるが、北尾鐐之助の場合は、平たく言って、あくまで自分というものがはっきりあった上での、観察者としての視点。宮本常一と対照的。

宮本常一は民俗学で北尾鐐之助は文学的。違いは大きいが、私はどちらも大好きで、それぞれの著作はいつも大きな気づきを与えてくれる。

その近畿景観シリーズ「伊勢志摩」は昭和16年の発行。時節柄もあって伊勢神宮に関しては敬虔な表現が数多く記されているが、その中で興味をもったのが「五十鈴川は古へから神聖視され、その流域においては、一切の漁を禁じ、不浄を警め、これを穢すものは神威を犯すものとされて来た。途中、山から落ちる水に、米を搗く水車などが架けられてはいるが、遠く志摩国境の水源地高麗廣付近までは、この流域の山中に村落の営まれているものはなく、四山の水をあつめて、渓谷はまことに碧瑠璃のような水を流している」という箇所。

伊勢神宮上流の五十鈴川とはどんなところなのだろう、自転車でその空間を体験しよう、と思った次第。

【峠】 剣峠(つるぎとうげ:323m)、鴻坂峠(こうさかとうげ:268m)
【使用自転車】TOEI650Aランドナー
【ルート】 伊勢神宮外宮8:40~伊勢神宮内宮宇治橋9:56~11:00剣峠11:17~11:47五ヶ所浦(昼食)12:38~
13:42鴻坂峠~15:00伊勢神宮外宮

伊勢神宮 内宮
写真:内宮、「赤福」前にて

伊勢 五十鈴川に沿って走る
写真:五十鈴川に沿って走る

伊勢剣峠
写真:五十鈴川に沿って走って勾配を上げると、「剣峠」に到着

五ヶ所浦
写真:太平洋側にダウンヒル。「五ヶ所」地区に降りた。

写真:帰路は「鴻坂峠」を越えて、外宮へ戻った。

【記録】2015年5月23日走行 TOEI650Aランドナー
伊勢神宮外宮8:45~9:25伊勢神宮内宮~11:00剣峠11:15~11:35五ヶ所~13:40鴻坂峠~15:10伊勢神宮外宮

【メモ】
・五十鈴川上流は、今では、特に感動的なものではない。特別清浄なエリアというオーラも感じられない。京都の北、大堰川や由良川沿いエリアの方が、景観美を感じられることが多いと思う。
・五十鈴川上流は伊勢神宮が土地を所有しており、居住している人も借地人で長くは続かず、その土地への愛情というかきめ細かな手入れが継続的に行われにくいからではないかと想像した。
・剣峠は、美しい秀逸な峠であった。
・「近畿景観」に描かれた場所を訪ねて、今の様子にがっかりすることは多い。乱雑な建物、不法投棄、看板、その他諸々。

+写真をGoogle Photosでみる(20枚)


201505剣峠地図
地図:走行したGPS軌跡が赤色の線

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