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立石岬[灯台カード]と原発だらけの敦賀半島ワンデイツーリング2025/02/26

「灯台カード」というのがあります。海上保安庁の発行で、該当する灯台の敷地内にあるQRコードを読み込むと取得できます。灯台の立地特性を考えた素晴らしい仕組みです。
 写真:灯台カードの例 (縮小して掲載)

自転車ツーリングの楽しみに付加しようと思い、該当灯台のある福井県敦賀市立石岬に行くことにしました。

敦賀市にクルマをデポ。敦賀半島の東岸を北上します。
途中、けっこうな数の民宿や旅館があります。釣り客や原発の点検保守作業員の需要を見込んでいるのでしょう。

原発のある岬の先端に向かって道路が整備されていますが、「沓」という集落の細い道に入ってみました。鳥居は大正時代に建てられています。当時は勢いがあったのでしょう。
 写真:「沓」集落の八幡神社
 写真:鳥居は大正14年の建立
 写真:沓集落のドンツキから望む敦賀湾
 写真:グランボア650Bランドナーoyakata10号

改良された道路のトンネルは避けて、海沿いの小さな峠を越えて、「手浦(たのうら」を通過、「色浜」へ。奥の細道で芭蕉も来訪しており、歌碑がありました。
「寂しさや須磨にかちたる浜の秋」
 写真:色浜
 写真:端正な造作の常夜灯籠
 写真:常夜灯籠は元禄12年(1699年)建立
 写真:芭蕉句碑

色浜の次ぎにあらわれるのが、「浦底」集落。家並みから少し階段を上ったところに神社がありました。
 写真:浦底にある劍神社
 写真:劍神社
 写真:神社の建物にある古い絵馬

しばらく走ると、日本原電の敦賀原発。1号炉は1970年の大阪万博開会式に初送電しましたが2011年の東日本大震災を経て2015年に廃炉。2号炉は直下に活断層があるとの評価報告書が正式に出され、規制委員会から原発の安全対策に適合しない決定が下されましたが、日本原電は抵抗しています。その奥にある「ふげん」も廃炉になっており、2040年に廃炉完成予定とのこと。

それにしても「ふげん」とか「もんじゅ」とか仏様の名前を原発に使うのは、不遜にも程があると思います。
 写真:日本原電敦賀の入り口

原発の入り口を通りすぎ、トンネルを抜けると立石集落が、山と海に挟まれて細長く存在していました。古くから敦賀湾外に出漁する釣浦として存在。
 写真:立石のバス停
 写真:立石集落

車道を行き止まりまで走って自転車をデポ。徒歩で山道を上がると、今回の目的の立石岬灯台がありました。明治14年(1881年)7月の点灯。
 写真:立石岬灯台

敦賀方面へ引き返し、今度は敦賀半島の西岸に向かいます。半島を貫く長大なトンネル(敦賀半島トンネル=全長3.8km)を通ります。トンネル走行は好きではないのですが、旧道は存在しないので仕方ありません。もっとも、クルマは全く走ってなくて問題ありませんでした。

トンネルの中には、なんとランニングの人がいました。トンネルを出たところにも。
旅ランにしては荷物がないし、どこからどこへ走っている人なのだろうと思って声をかけたところ、どうも「もんじゅ」関係で働いている人のようでした。確かに、トンネルの中は夏は涼しく冬は暖かく、クルマも稀にしか走ってないので排ガス臭くもなく、よい練習場所になるのでしょう。
ちょうど昼休みの時間でしたし、散歩している人とかも。僻地にある開放感のない職場では、こうして外気に触れて身体を動かさないと精神的にしんどいのかもしれません。どんな仕事なのかわかりませんが、廃炉が決定している原発で、ゴールがいつになるのかもわからない、世間からもリスペクトされ難い組織で働くことの大変さを想像しました。もしかしたら大学で原子力などを専攻した人にとっては、専門が生かせて労働条件も良い職場なのかもしれませんが。
 写真:敦賀半島トンネル

トンネルを抜けると「白木」浦。「白木」は「新羅」から来ているのではないかという説もあり、古くから漁業で勢力をもった浦。半島の先端の集落というのは、現代の感覚では一番奥の僻地だと思われがちですが、海上交通がメインの時代にはそうではありません。そもそも今のような道路はなく、陸上には杣道しかなかったのですから。

 写真:白木の「白城神社」
 写真:文政13年(1830年)建立
 写真:白城神社
 写真:白城神社の建物
 写真:白木の集落

神社のすぐ横の海岸にでると、高速増殖原型炉「もんじゅ」が正面にありました。想像していたよりもこぢんまりとしてます。事故を起こせば日本のかなりの部分が壊滅的になる存在なのに、外形的には小さく静かなのが、なんとも不思議に感じられました。
 写真:高速増殖原型炉もんじゅ
 写真:白木にある「海蔵寺」

白木から丹生へはトンネルを避けて旧道の白木峠へ。途中、「もんじゅ」への分岐があるのですが、一般公道上からカメラを向けただけで、警備員がワーワー叫びながら走ってきて、とても感じが悪かったです。建物に肖像権はないし、納税者への態度として不快。よっぽど暇にしていて、存在感を示したかったのでしょうか。
 写真:もんじゅ への分岐

白木峠には放射線観測施設と朽ちた案内図がありました。
 写真:白木峠の放射線測定施設
 写真:白木峠にて

峠を下ると、そこは「丹生」。ここには関西電力の美浜原発があります。1号機と2号機は廃炉作業中。3号機は過去に運転中の死亡事故を起こすなどトラブル続きでしたが2022年に再稼働したものの、2024年に冷却水漏れが発生し、現在停止中。
 写真:丹生集落と美浜原発
 写真:釣り人と美浜原発
 写真:丹生にて
 写真:美浜原発遠望

原発というのは稼働していても煙や騒音も出さず、外形的には静かにチンと収まっています。風力発電の風車は、私の場合生理的に苦手で低周波騒音なのかどうか判りませんが、近づくと気分が悪くなります。太陽光発電パネルも景観面のみならず、多くの問題が指摘されています(事業者の責が大)。自然エネルギーが手放しで称賛される状況ではないのですが、かといって原発の潜在的リスク、日本国を壊滅させるパワーをもった甚大な危険性を捨象できません。建設やその後の運営にまつわる原発マネーの不明朗さや地域社会の分断等の問題もあります。
電気エネルギーの恩恵を受けている一人として、悩ましいところです。

「竹浪」から今度は馬背峠(まじょうとうげ)トンネル(=1.4km)を通って東海岸へ。
 写真:竹浪の集落。
 写真:馬背峠トンネル

トンネルを抜けて、しばらく走ると、敦賀の気比の松原。三保の松原(静岡県)・虹の松原(佐賀県)と並ぶ日本三大松原の一つ。
 写真:気比の松原

デポしていたクルマに自転車を載せ、舞鶴のお風呂屋さんへと向かいました。
国道27号線には路肩が狭くて大型車の通行が多い箇所があり、自転車では走りたくないので、こういう機会にクルマで舞鶴へ。

西舞鶴の吉原地区で、昭和を感じさせる街並みの中に、渋いお風呂屋さんがあります。京都府公衆浴場組合のキャンペーンに参加するため、立ち寄りました。
創業は1920年(大正9)年、100年以上続く漁師町のお風呂屋さん。国の有形登録文化財です。 おしまい。
 写真:舞鶴市(西舞鶴)吉原
 写真:舞鶴市吉原
 写真:吉原にある「日の出湯」

 今回の走行ログ(クリックして拡大)

◎走行日:2024年10月31日
◎使用自転車:グランボア650Bランドナーoyakata10号
◎走行距離:50km
◎行程:敦賀市気比の松原8:50~9:50色浜~11:00立石岬灯台~12:30白木~13:05丹生~14:00馬背トンネル~14:15気比の松原=16:50西舞鶴吉原

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