MTB アラヤ マディフォックスMTF26CRM-G ― 2016/05/17
以前開設していたHP(自転車とカメラの日々)より再録
「ニューサイクリング」1989年9月号の巻頭特集「最新ATB 10台の実力」で好評価だったので、購入。
当時はMTBまたはATB(オールテラインバイク)と呼ばれ、サイクリストの間でもいわゆるMTBの認知は進んでなく、ゲテ物扱いされている一面もあったと記憶している。
私もMTBを認めるかどうか躊躇していたが、NC(雑誌 ニューサイクリング)の記事で薛さん(編集者)が好意的に書いていたので、そろそろMTBを体験してみようと思った。フレームは丹下プレステージ、パーツはデオーレXT-Ⅱ(懐かしい!)。もちろん、MTB用サスペンションなど存在してなかった時代だ。
購入して、乗ってみて驚いたのを覚えている。子どもの頃の「自転車乗り」の楽しい感覚がよみがえったのだ。ロードレーサーはテンションの高い乗り物で、それなりのスピードを出して走らないと爽快感は得られないが、MTBだとそのへんをホロホロ入っても楽しいのだ。
山道の急坂も思ったよりよく登る。
というわけで、京都の北山シングルトラック等を走り始めたが、しばらくして、チェーンステーが自然に曲がってしまった。後タイヤとフレームとの間隔が均等でなくなってきたのだ。メーカー保証が得られることになったが、無骨なプレスラグ(今となっては草創期のMTBらしくてとっておけばよかったと思ったりもする)等が気に入らなくて、新しいフレームに買い換えた。
MTBといえばARAYAがリーディングカンパニーで、アメ車はまだまだ侵攻してなかった時代のことである。たった10年前(※2009年時点)だが、そのことを考えるとずいぶんと昔の気がする。ちなみにニコンのカメラで時代区分するなら、F4が発売になった翌年である。この10年の変化では自転車の世界のほうが大きい。
追記:その後の変化を考えると、カメラはデジカメの時代になり、銀塩カメラは一部好事家以外からは歴史の彼方へ。アラヤもMTBブームの後は、撤退に近くなったようですが、近年は面白い商品企画でがんばっておられます。
レイシス フルオーダーMTB ― 2016/05/17
旧HP:自転車とカメラの日々 より一部修正
ARAYA MTBのチェーンステーが曲がったので、MTB2台目として、「TAKENAKA」(注:当時寺町丸太町にあったショップ。私もTAKENAKAさんの自転車チーム”ホリディサイクルクラブ”に入れてもらいレースを始めた)を通じて枚方のビルダー レイシスにオーダー。
ARAYAは重たかったので、今度のコンセプトは軽量パスハン的MTB。
フレームはプレステージの軽量仕様をフィレット仕上げ。クランクは杉野PX、ギヤはTA、ディレーラーやブレーキなどはサンツアー。
リムはカンパ「CONTAX」でタイヤはミシュランMTB用。
重量的には軽かったが、走りは重かった。変速も山道では無理なトルクがかかったりするので、やはりMTB専用パーツでないとスムーズでなく、後にサンツアーマイクロドライブシステムでXCプロがリファインされた際に、全部取り換えた。
このMTBで思い出深いのは、京都府立ゼミナールハウスで開催された「オールJAPAN ナショナルチャンピオンシップ MTB大会」で年代別クラス入賞したこと。八代正さんがコーディネートし、数年間ゼミナールハウスで開かれた後、兵庫県の柴田ファームに会場が移り、その後は岩岳の大会となって発展している。MTBレースの創生期ならではの話である。
ゼミナールハウスに前泊して一緒に泊まった外国人で、やたら日本語が上手なMTBもオタクのような人がいて、いったい何者かとおもっていたのが、後にキャノンデールJAPANの副社長になったマイケル・トロイ・ジャクソンさんだった。彼は当時、出来サイクルが企画販売していたヨセミテブランドMTBの、一営業マンだった。レース後に風呂に入ったら、彼と二人きりだったので、いろいろと話をした。彼はまだ車も持ってなく、帰りはバス輪行していた。
レイシスMTBのフレーム工作と色合いは私のイメージどおりで、実にほれぼれするほどきれいな自転車に仕上がっていたが、走りが悪いので、フレームをキャノンデールに買い換えることにして、手放した。
HONJO フルオーダーMTB ― 2016/05/17
上の写真は、このMTBを会社の先輩に譲る際、ステム等を先方の体型に合わせて取り換え、フォークもサスペンションでなくオリジナルの「丹下ビッグフォーク」に戻した状態のもの。
リアルレーシングMTBとして本城さん(注:鳥取市にある工房。近年は競輪選手向けのオーダーフレーム製作に特化)にオーダー。パーツは出たばかりのシマノXTRフルセットでI’S BICYCLEにて組んでもらった。
当時はフレームビルダーもMTBを手がけていた。この自転車は「サイクルスポーツ」のMTB一覧の本城サイクルワークスのページに登場したこともある。
フォークはビッグフォークからリッチーロジックフォーク、新発売の丹下サスペンションフォーク、ロックショックマグ21へと変遷した。
実戦に投与し、数々のレースを走り、プラザ坂下での「ビンゴdeMTB」シリーズや柴田ファームの大会で入賞したりした。今ではクロカンマシンで出走するなど考えられないだろうが、ダウンヒルレースにも出走し、そこそこの成績を収めた。
良く走るマシンだった。
たいへん気に入っていたが、リアルレーサーとしては寿命がつきたので、ポタリング用に余生を送るということで、先輩に譲ったのだ。
転勤にも連れていってもらったようで、先日家族旅行で訪ねたら、シンガポールの超高級コンドミニアムの大理石床材の上に鎮座しており、幸せな余生をおくっているようだった。(注:1990年代の話です)
キャノンデールMTB ― 2016/05/17
[旧HP 自転車とカメラの日々 より]
レイシスのオーダーMTBは軽量でとても美しく、その意味では狙いどおりに造ってもらったのだが、走りに精彩を欠いた。なんかフレームがしなやかすぎて、推進力をロスしている感じ。
というのが表向きの理由で、キャノンデールのフレームを買う決心を固め、パーツを移し替えた。
もう一つの理由として今にして思うのは、当時、私の所属していたクラブがキャノンデールで熱くなっていたこと。鈴鹿ロードのチームロードにキャンデールで揃えて出走したほど。キャノンデールの日本法人が設立され、出来鉄工の「ヨセミテ」ブランド立ち上げに貢献したマイケルTジャクソンがキャノンデールジャパン社立ち上げに際して移籍し、宣教師のように日本のMTB界に影響力を与えるなど、新たな時代のうねりが感じられた。キャノンデールのカタログもマイケルが翻訳していたのかどうか知らないが、奇妙な翻訳調文体や半分意味不明のフレーズがちりばめられていて、手作り感覚にあふれていて楽しいものだった。各レース会場でもマイケルが率先して出走していたし、キャノンデールは大変輝いていた。
ただし、このキャノンデールMTBに私が求めていたものはあくまでシングルトラック用軽量MTBということだったので、最後までサスペンションフォークはインストールせず、リジッドで楽しんだ。フォークは軽量な「ペペロニフォーク」で大変気に入っていたが、キャノンデール社からリコールの知らせがあり、鉄コラムのものに替えられてしまい、残念。体重60kgほどの私ならば、全然問題なかったかもしれない。
ブレーキのワイヤー取り回しもキャノンデールオリジナルの滑車方式のようなもので、MTB発展期の楽しさにあふれている。
その後、MTBの変貌があまりにも激しくなり、私などにはついていけなくなってしまった。ダウンヒル用MTBなど原動機なしオートバイのようになってしまって、まったくお手上げだ。
数年前から実家に保管し、帰省時の山遊び用にしている。いろいろと思い出のつまった自転車だし、パーツはサンツアーXC PROなので昔を懐かしがって手放さないつもり。
TREK 970SHX MTB 1996年モデル 完成車価格13万円台 ― 2016/05/17
[旧HP 自転車とカメラの日々より]
毎年、秋になると各社のカタログをみていますが、96年モデルのTREKカタログの中で、この自転車が目に飛び込んできました。
コストパフォーマンスが非常に高く、バランスがとれていて興味が湧きました。MTBは半分消耗品みたいなところがあって、あまり値段の高いものはどうかと考えることもありましたし・・・。それと、まだTREKの日本法人がなかったころに購入した妻のTREK950が、私にはサイズが全然違うにも関わらず、走りが軽く、TREKのクロモリ車について好印象を持ち続けていたことも関係あります。テゥルーテンパー社のクロモリチューブであるということと、グリップシフトにも興味がありました。
パーツのオリジナルの構成は以下のとおりです。Colors: Ice Fire w/Black decals
Main tubes: True Temper triple butted Cro-Moly
Stays: True Temper Cro-Moly central butted seat stays
Fork: Rock Shox Quadra 21R suspension, 60mm travel
Headset: Dia-Compe ST-2 Aheadset 1 1/8"
Crankset: Shimano Deore LX-C 42/32/22
Front derailleur: Shimano Deore LX-C Top Swing, top pull
Rear derailleur: Shimano Deore XT SGS
Shifters: Grip Shift SRT-800 X-Ray
Freewheel: Shimano HG70-I 11-28, 8spd
Chain: Shimano IG70
Hubset: Shimano Deore LX rear; System 3 suspension front
Spokes: Union USA 14/15G butted stainless
Rims: Matrix Swami WM, anodized, 32 hole
Tires: Panaracer Dart 2 Comp front; Smoke 2 Comp rear, 26 x 2.0"
Brakeset: Shimano Deore LX w/Dia-Compe PC-7 Power Control levers
Pedals: System 2 ATB w/clips and straps
Handlebars/bar ends: System 2 ATB, butted alloy, 170g w/System 1 bar ends
Stem: System 2 ATB, forged alloy direct connect
Seatpost: System 2, forged dual-bolt adjustable head
Saddle: Bontrager Plus 10, Cro-Moly rails
Additional components: Rack mounts, 2 water bottle mounts
Weight: 25.86 lbs / 11.74 kg
購入して交換したのはクランクとブレーキをXTにしたのとペダルをSPDにしたくらいです。
この年のアメリカ国内向けカタログをみますと上位モデルとして「990SHX」というのがありますが、日本では未発売です。最近ではクロモリは国内では売れないからか970クラスでも発売されなかったりします。メーカー車でも「これはいい」と思った時に買っておかないと、次年度には消滅したり、好きな色がなかったりします。
このモデルはTREKのロゴが変わる直前、パーツ的にはカンティブレーキ時代の最終年度で、デオーレXTも細めのデザインの頃です。全体として私には上品に感じられ、買っておいて良かったと思いました。地味といえば地味ですが。
今思うのにはサスペンション無しの「TREK970」(SHXが付かない)、にしておけば、一層シブくてよかったかもしれません。近年ではサス無しモデルは廉価版モデルのMTBルック車的なものにしかなかったりしますし、フォークだけを購入しても、フレームとは同じ色になりません。レース用でないなら改めてサス無しMTBに乗るのも楽しいかもしれません。
このTREKを買った翌年にBSネオコットMTBを約3倍の値段を払って購入していますが、両者の違いはどんなもんでしょうか?
一言でいうならBSのほうが乗り味がしなやかで、取り回しがよく、さすがにレース向けです。TREKもクロカンレースで使ったことがありますが、動きが少々鈍く、車体の重量を感じました。
但し、この差に3倍の値段の違いがあるかというと、感じ方は人それぞれでしょう。私は、レース用として考えるならば、やはり値段の違いだけのものはあると思います。
でもそれは決してTREKの満足度が低いということではありません。どっしりして、しっかり走るTREKはツーリングをはじめとするレース以外では十分の働きをします。キャリアも取り付けられるのでツーリングではBSより機能的には適しています。
なによりこの値段でこれだけのものが手に入るのなら、文句はいえません。両方とも乗って楽しい自転車です。
現在、妻の実家に置かせてもらっています。
追記:2014に京都に戻し、フルリジッドに改造。リムとスポークも交換しました。すぐに林道ツーリングに使いました。不満はないのですが、感動もない。細身のシマノXTとクロモリフレームのバランスがいいので手放さずにいますが、だれか値打ちを認めてくれる人がいれば譲りたいです。
BSネオコットMTB 97年モデル 基準価格37万円 ― 2016/05/17
[旧HP 自転車とカメラの日々より]
BSネオコットMTB 97年モデルTWNTeam 基準価格370,000円
リアルレーシングマシンとして数年間共に過ごした「HONJO MTB」がさすがに競技用車としては寿命が尽きたので、買い換えを検討。
HONJO MTBで過ごした年月は、例えばカメラの世界では20年間以上の変化に相当するかもしれない。それほど激しい変化がMTB界ではあったということ。
欧米のメーカーがますます勢いを増し、国内ビルダー系はMTBから撤退したところが多い。あまりにも流行の変化が激しく、個人の力では対応できないのかもしれない。もともとMTBはアバウトな乗り物であって、フレームスケルトンもレーサーほどのこだわりを要求されることもない。きめ細かな個人対応を売りにする個人ビルダーにわざわざ頼む必然性に欠ける。カラーリングのセンス等も大メーカーの得意とするところ・・・
パーツも一時期はアメリカのガレージメーカーがチタン製品を数々開発していたが、ブームも収束し、そんな動きを横から見ていた私もなんだか疲れてしまったのである。
もう面倒くさい。パーツはシマノXTRで十分だし、フレームもメーカー製でいい。とはいえ、さすがに何でもいいというわけにはいかず、結局のところ選んだのはBSのネオコットだった。ノーマルサイズのチューブであるところが気に入った(最近のはオーバーサイズ化している模様)。XTRフルセットとマビックのクロスマックスホイール、ロックショックスジュディSL、ネオコットクロモリフレーム。これ以上何を望めば良いのだろう。自分の脚力だけだ。サドルは安っぽいと思ったが、実際に使ってみると全然問題ないのでそのままにしている。NITTOのバーエンドもすごく良い。形状の似てる類似製品とは何故かしら全然握り心地が違うのである。どこが違うのだろう?
実はこのフレームは同じモデルの2台目になる。ネオコットMTBを購入してしばらくしたある日、京都北山八丁平にツーリングに行った時、走行中、小枝をディレーラーに巻き込み、エンドを破損、そのままオシャカになってしまったのである。すぐさま全く同じネオコットフレームを注文。2週間ほどで上がってきた。
国産メーカー車はこんな対応ができるのが良い。輸入車だと色やサイズが揃わないケースがままあるように聞く。まあ、そう何度もあっては困ることだが。
[追記]このMTBは完成度が高く、私としては例外的に改造をほとんどせずに四半世紀以上使い使い続けています。サスペンションフォークはリジッドに交換しましたが、それ以外はほとんど手をつけていないのです(ステムを短くしました)。1インチのしなやかなクロモリフレームで、乗る度にフルリジッドの気持ちよさを体感できます。
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