WINDCOG(ウインドコグ)小径折り畳み自転車のこと ― 2024/09/15
写真:リクセンカウル・オールラウンダーツーリングバッグ、純正シートチューブバッグ用専用ケージ、前マッドフラップ(社外品)、CAT EYEランプホルダー装着例。
折り畳み自転車で目にしがちなのは、ホームセンターや通販で売られているような粗悪品が錆だらけで放置されていたり、そんな元々走らなくてしかも整備されてないものをギコギコ苦しそうに無理やり漕いでいる姿。
時々、輪行ツーリングする人にも出会うが、ランドナーを愛用している私は、つい「もっとツーリングに適した自転車があるのに」と思ってしまう。こんな私の方が世間的には少数派で、ランドナーの輪行を知る機会もなく、知っても敷き居が高いように思い、相談や購入できるショップも近くになく、折り畳み車を選択する人が多いのだと推測する。
折り畳み車とは、似ているようで別だが、「ミニベロ」と称される小径車というジャンルがあり、こちらのほうは、自転車趣味の人が1台は持つのがたしなみのように思われていた時代があったかもしれない。例をあげると、有名フレームビルダーが手がける小径車など。
私も、ランドナー、スポルティーフ、レーサー、MTBとそれぞれ楽しむ中で、小径車が欲しくなり、BSモールトンを20年以上前に購入した。
あと、この方たちが小径車、折り畳み車の本流であってほしいが、折り畳み小径車のメカニズム的なものや制限がある中でのパフォーマンス最大化を探求して、小径車を究めようとする人たち。
そういうスピリットを感じたのが、今回とりあげる「WINDCOG」。
折り畳み小径車について尋常になく探求している人が作り上げた逸品だと、直感的に思った。
ツーリングを念頭につくられ、泥よけが標準装備というのが素晴らしい。前後キャリアも専用品が日東の制作で存在しているなど、レベルの高さが推測される。
こういう製品は、あるうちに購入しておかないと、採算的に最初のロットが終了したら再生産はないかもしれないという心配もあって、購入することにした。
ちょうど、会社員時代にある意味縁のある「ナニワ銀輪堂」が扱い店だということもあるし。
想定用途としては、例えば京都から阪神間の美術館を巡るとか、走行時間以外をそこそこ費やすミニトリップ。一日に何回も輪行する場合とか。もちろん、気楽なワンデイ輪行ツーリングも。
いくら苦でないといってもランドナーで輪行して駅前で組み立てると、もっと長距離、峠の向こうまで走りたくなってしまうのは目にみえている。走行時間以外が長いと、フラストレーションがたまりそう。
と前振りが長くなってしまったが、とにもかくにもウインドコグという折り畳み小径車を購入し、いつものルートを走ってみたので、そのインプレッション。
コースは京都の保津峡から愛宕山の裏を走る山間の道で、途中に急勾配の峠がある。
その峠での上り下りで、これまでも多くの自転車を評価してきた。ロードレーサーからMTBまで。もちろん、ランドナーも。
ウインドコグについては、一言、何の不満もありません、ということ。
とても良心的な価格で販売されているので、パーツはこれまで私が使ったことのないようなメーカーのものばかり。
ブレーキがテクトロというメーカーで、ダイアコンペ製品に交換したかったが、購入時にその旨を頼んだところ、メーカー在庫を切らしている、とのことでそのまま使っている。
クランクも聞いたことのないメーカーのもので、どうかなあ、と思ったがシルバーパーツというのが今や絶滅危惧種になっていて、デフォルト製品のデザインも決して悪くないので、そのまま使っている。デフォルトのサドルも快適。
変速関係も、デフォルトで全く問題ないので変更する気持ちはない。ギア比も、いつもの急勾配の峠を登るのにも適切(最大ローが42x28、20インチ)で、全く問題ない。
ペダルだけは、三ケ島製品に替えた。
パーツの選定もよく考えられていて、「失礼しました、ほんと良く考えられていますね」というのが感想。専用輪行袋もよく考えられていて、感服した。
ライディングポジションも、ばっちり(私の身長は175cm)。
小径車にありがちな、短いホイールベースということはなく、実測で97cm。私のロードレーサーのひとつ(700C)と1.5cmほどしか変わらない。車輪の大きさが違うので、その差が有意なものなのかどうか、フレーム設計の知識がない私にはわからないが、乗車感覚としては違和感がない。視覚的にはホイールベースはもっと短いかと思ったが、そんなことはなかった。
というわけで、散々自転車三昧してきたけれど、このウインドコグの場合、完成車状態で全く問題なく、気持ちよく走れる。
唯一、手を入れたいのは、やはりブレーキ。実用上テクトロのデフォルト製品で問題ないが、感触という点では、感動がない。
私にとってカンパ・コーラスのブレーキフィーリングが大好きで(ブレーキ単体で決まるものではなくフレーム・ホイール・タイヤ等とのマリアージュではあるが)、峠の下りでコーラスのブレーキを使用する度に、この感触のためにもう一度坂を登りたいと思ったりするが、そこまで求めることはなくても、もう少しジワっと効く感じ、入力に対するリニア感が欲しい。ブレーキシューだけでも替えてみたい。
写真:いつもの場所で。WINDCOG。
写真:ウインドコグ。この位置のボトルケージで、舗装路走行中にロングサイズのボトルが落ちてしまった。通常サイズなら問題ないか。
写真:ウインドコグのドライブトレインと折り畳み機構
写真:ウインドコグのリアエンド廻り
<追記>
フロントハブのところの凸部(磁石付)とリヤハブのところの凹というか穴とを合わせて折り畳んだ後、組み立てるときになって、その2つがなかなか外れない事象が生じた場合には、アーレンキーで後ろハブのアクスルをちょっとだけ回すと結合部の角度が変わり、スムーズに折り畳み、外しができます。
「外れやすい」というクレームがあったからか輪行袋にはそれ対応用の小さい部品が付いていましたが、私は使っていません。かえって面倒ですし、私は古チューブ(細いラッテクスチューブが最高ですが、ブチルチューブでもOK)でハンドルと折り畳み状態の前と後ろを結んで、かっちりズレないようにしています。チューブで結ぶなどほんの10秒位のものですから)
<追記2>
ナニワ銀輪堂に、ウインドコグ純正のシートチューブバッグを受け取りに往復自走で行ってきました。京都から大阪大正区には、桂川、淀川のサイクリングロードを走って不快な道を走ることなく行けます。往復で120km。
往路は凄い向かい風。インプレッションには最適です。上り坂は先日の走りで体験して、全く問題ない受け止めでして、平地の向かい風はどうなのか興味がありました。
走らない自転車というのは、自分の入力に対して、期待よりも前に進まない自転車。後ろタイヤがスローパンクしてるんとちゃうか、とかチューインガムが張り付いているんとちゃうか、みたいな感じ。軽量なカーボンロードフレームでも、その点で気持ちが良くなく、すぐに手放したものもあります。
ただ、体感的には遅いようでも、タイムを計ってみたら実は速かった、という自転車もあります。そういう自転車は私の経験上ではフレームやホイールが自分にとって固い自転車。ブリヂストンのアンカーのロードレーサーがそうでした。
競技に使うわけではなく、ツーリングで使う分には、踏んで気持ちよく、踏み続けても疲れない、一生懸命踏むと速いけど筋や筋肉が痛くなる自転車でない、のが良いです。
強烈な向かい風できついけど、踏む分には不快でない、そういう自転車が良いです。
その意味では、今回のウインドコグは、大丈夫でした。
GPSのログを帰宅後に解析すると、今回、平地を往復120km走ったのですが、帰りは追い風の区間が少しあった程度ですが、実は時速30km以上は、ほとんどありませんでした。
踏み味は軽く、スムーズに走っているようでも、それが小径車だからどうかはわかりませんが、ウインドコグは時速20km〜30kmで巡航するには気持ちよい、実は30kmで走っていてもそれ以上スピードが出ているような気にさせてくれる自転車です。
時速30km以上で巡航したいという用途ならば、やはりロードレーサーでしょうが、荷物を積むとか諸々考えるとツーリングにはどうかな、と思います。サポートカーがつくスポーツライドならいいのでしょうが。
誤解のないように記しておくと、ウインド・コグが時速30km以上出ないとかそういうことではなく、私の脚力との関係でそうであったということ。下りでは時速40km以上でもしっかり走りますし、高速安定性に問題があるわけではありません。小径車であることのネガは感じません。
ランドナーならロードレーサーほど高速巡航に特化しているわけではないけれど、あらゆる面で守備範囲が広いと思います。
ところで、小径車でいうと、ブロンプトンが有名で、走っている人に時々会いますが、ブロンプトンの巡航速度というのは独特というか、押し並べてのんびりのように思います。だからといって、本人がそれで楽しんでいるのを他人がとやかく言う必要はないですし、それが自転車のせいなのか、そもそもブロンプトン愛好家というのがのんびり走る嗜好性をもった人ばかりなのか、そのへんはわかりませんが、出会う度にそうなので、不思議に思います。旅の手段にブロンプトンを選択するのではなく、愛用のブロンプトンで走るのが目的であるのかもしれず、その気持ちはよくわかります。
平地と坂道を走った、私なりのインプレッションとしては、時速30km位で走るのにはウインドコグは気持ちよく、アゲンストな状況でもペダルが踏める。荷物の搭載も工夫されているので、ロングツーリングにも対応できるのでは、小径車なのでフロントサイドバッグにすれば重心が低く、地をはうような走行感覚が得られるのではないか、というところです。タイヤがやはり小径であるのと、太くないので、42Bランドナーのような、どっしりした安定感は得られませんが。
写真:大阪・与謝蕪村生誕地
写真:大阪・中之島公会堂
<追記3>
その後の改造
1)ブレーキシューをシマノ アルテグラ用 に交換・・・テクトロのブレーキシューはシマノのとほぼ同サイズなのか、特に調整することなく簡単に替えられました。シマノのシューは屋根裏収納庫にあった取得時不明のものですが、問題なく使え、ブレーキング時の感触もくいつきのじわり感が出てよくなりました。
2)サドル交換・・・ウインドコグ純正のシートチューブバッグを装着する際には、サドル下にストラップを通すのですが、デフォルトのサドルはその部分がスリムでストラップを通すのに少し手間取る(ちゃんと通りますが)こともあり、これも屋根裏収納庫から救出したベルトゥの革サドルに交換しました。デフォルトのサドルで不満はありませんでしたが、やはり革サドルのほうがしっくりきます。イデアルやブルックスよりもスリムなのでウインドコグには似合うと思っています。
3)ボトルケージ・・・20年以上前に購入したミノウラのペットボトル用のケージにしました。飲み口のところにゴム製のストッパーがあるので確実にボトルを保持できます。
パナソニック クロモリ ロードレーサー(2022/9) ― 2022/09/22
写真:パナソニック オーダーロードフレームFRCC02 ※2022年の型番FRCC03と同等だと思う
TREKのカーボンロードレーサーを手放し、パナソニックのクロモリのロードレーサーを組んでもらった。
実は、このパナソニックのフレームは、消費税率が上がる前、還暦記念に備えてオーダしていたものだが、いざ還暦になってみると人事異動で仕事が変わったりしたこともあって祝える気分でもなく、屋根裏収納庫に寝かしていたのだが、今回、思うところがあって、完成車にした。
パーツの多くはTOEIロードレーサーから移植。TOEIのフレームも手放すことにした。
なぜ、今更パナソニックのフレームにしたかというと、以前、シクロクロスのフレームをパナソニックのに変えたところ、実に踏み心地がよく感動が持続しているから。
パナソニックの自転車部門は、今では電動アシスト車の売上がほとんどだそうで、オーダースポーツ車は、関係者の努力と様々な力学の中でなんとか存続しているのかもしれない。
パナソニックと言っても、なにもロードレーサーを大量生産しているわけではなく、ハンドメイド。企業としての品質管理がしっかりしてそう。
出来上がりは、期待以上。ラグも美しい。
パナソニックは「ジャパン バイク テクニーク」といったハンドメイドビルダーが集うイベントにも参加している。海外の自転車メーカーの値上げがすさまじい中、パナソニックの価格はたいへん良心的に感じられる。自転車部門は、パナソニックの御本社とは別のフィロソフィの会社ではなかろうか、知らんけど。
写真:パナソニック クロモリ オーダーフレーム サイズは540mm
写真:ラグもボテっとしてなくて美しい
写真:シート部分のラグ。チューブは丹下プレステージ。シートピラーはカンパ。
写真:サドルはイデアル88を屋根裏収納庫から発掘
写真:集合ステイもチャーミングだ
写真:エンドはロードエンドをオーダーした。パナソニックの刻印入オリジナル。ディレイラーは前後ともデュラエース7700系。Wレバーも。
写真:クランクは東京サンエスの「ラ・クランク」47✕31。後ろは13-25。どんな上り坂でも(舗装路)大丈夫なはず。ちなみにブレーキレバーも東京サンエスの「Jリーチ」で、実に使い良い。ブレーキ本体はカンパ スケルトン。ハンドルは日東105、ステムはエネシクロ。 以上
【追記】
完成後、早速、試走してきました。
1)自宅(京都市右京区)〜笠峠〜栗尾峠〜深見峠〜佐々里峠〜花背峠〜自宅:122km 累積標高1727m:ホイールはグランボアハブ+グランボアパピヨンリム+ビットリアOPEN PAVE CG
2)自宅〜六丁峠〜神明峠〜越畑〜京北浅江〜周山〜魚ヶ渕〜越畑〜神明峠〜六丁峠〜自宅:79km累積標高1325m:ホイールはデュラエース74系ハブ+マビックSSCパリルーベ+ビットリアコルサSR(チューブラー)
3)京北道の駅〜北桑田高校の裏坂〜神楽坂トンネル〜美山町下吉田〜堀越峠〜名田庄道の駅〜五波峠〜佐々里峠〜山国〜京北道の駅:115km累積標高1509m:カンパゾンダ+ビットリアコルサ
いつも走っているコースや、日帰りとしては遠くの峠を含めてホイールを替えて走ってみました。フレームを評価するのに、ホイールとのマッチングもあるからです。
どのホイールで走っても、パナソニックのクロモリフレームは、ペダルの入力にスッと反応し、気持ちよく走れます。
いろいろ自転車を所有してきたけれど、正直、ロードレーサーであれば、このパナソニック1台あればいいかも、と思いました。DE ROSAネオプリマートは別格として。
ロードバイクに興味をもってこれから始めようとする人の多くは、クロモリの存在を知らなかったりして、選択肢にすらならないのかもしれませんが、この完成度の高さは秀逸です。コストパフォーマンスでも最強でしょう。
レースに出るには、ある意味目立ちすぎるし、皆が乗っているカーボンが売れるのでしょうが、少なくとも私がこれまで乗ってきたカーボンフレームよりも、断然気持ちいいです。私の場合。(2022/10/5追記)
グランボア カンパ鉄3アーム イタリアンレーサー ― 2022/05/02
30年以上前、美しいと感じて何に使うのか考えることなく購入したカンパ鉄3アーム チェーンホイールを屋根裏収納庫に寝かせていた(既報)が、そのための自転車がついに完成した。
写真:グランボア イタリアンレーサー
還暦になり、そろそろ在庫のパーツも使っていかねば、と思った次第。
写真:カンパ鉄3アーム ヌーボグランスポルト 50✕42
当初、TOEIロードレーサーフレームを使うつもりだったが、アイズバイシクルの土屋さんから、ちょうど良いイタリアンフレーム(メーカー不詳)があるのでそれにしたらという提案があり、ありがたく受け入れた。
写真:手の込んだラグ。ラグの肉抜きまでしてある。
鉄3アームと同じくヌーボグランスポルトのバンド式レバーがあって、Wレバー台座付きのTOEIフレームでどう処理しようかと悩んでいたことが、直付けの一切無いフレームであることから一挙に解決。
写真:カンパ ヌーボグランスポルトWレバー
また、最近のロードバイクと呼ばれている商品は、ワイヤーフル内蔵が流行っているようで、中級グレードのものまでそうなっているが、その価値を理解できない私には、2022年の今、素のフレームを得ることがアンチ内蔵の立場から、意気に感じる。
趣味で凝ったフレームを求める人がフル内蔵するのはお好きにどうぞ、という感じだが、通常の使用状況において、フル内蔵にメリットがあるとは、到底思えない。
メンテナンスが大変で、ちょっとしたワイヤー交換ができなくて、困るのではないか。
BBを都度外さないと作業できないのであれば、高価なカーボンフレームのペラペラのがそれで大丈夫なのかと心配になる。
メーカーの売らんがためのような気がして仕方ない。
ワイヤー内蔵で空気抵抗が減って走りが楽になったりタイムアップするというのは、ホビーレーサーレベルでは関係ないと思う。
そんなことをつらつら思っているところに、このイタリアンメーカー不詳フレームは、まったく直付けのない、素のフレームで、今の時代に、こういう中古フレームに出会えたことは僥倖である。時代的には1970年代の品ではないかという話。
写真:ワイヤー処理
もっとも、直付の火がフレームに入ってないからといって、チューブの性能が最大限に発揮され、特別な感動が得られるかというとそういうことはないと思う。まだちゃんと乗っていないけれど。
ただ、当たり前に付属しているフレーム小物が一切無いので、小物もちゃんと用意できる自転車屋さんでないと、組めない。
普通のお店では、まず無理だし、そもそも相手にしてくれないだろう。
写真:ワイヤー小物
ブレーキはレコードのノーマルサイズだが、それでもブリッジからの距離が足りず、純正のアダプターを介して装着してもらった。
エンド幅は、当然120mmなので、5速。
ヌーボグランスポルトのディレイラーで、気持ちよく変速する。
前ディレイラーが芯棒のようなもので真っ直ぐ出るのがお茶目
写真:カンパ バレンチノ 前ディレイラー
ペダルはレコードピスト
写真:カンパ レコード ピストペダル。ビンダのストラップ。
ブレーキレバーは縦文字カンパ
写真:ハンドルまわり。チネリ ジロ・デ・イタリアと1Aステム。サドルはブルックススワローチタン。
フレームから小物まで、アイズバイシクルだからこそ組み上げられたイタリアンレーサーだと思う。長らくの御縁に感謝。
(追記)
CASATI ゴールドライン ― 2021/11/29
写真:CASATI ゴールドライン
金色メッキで、ワイヤー内蔵。最近のカーボンロードレーサーは内蔵が流行っているようだが、はるか以前にCASATIはワイヤー内蔵をしていた。
私は、ワイヤー内蔵は整備に不便なので、フレームオーダーする際には、基本、外出しにしているが、これは例外。というか時系列的にはオーダーで自転車をつくることを覚える前に購入している。
1990年のことで、社会人になって5年目。その工作のスペシャリティ感に驚き、清水の舞台から飛び降りる気持ちで、この自転車よりも高価な自転車は一生買うことはないだろうと確信しながら当時のバブル経済的勢いをかりて、京都の「ヤマネ」で分けていただいた。
いわゆる「床の間自転車」というか、もったいなくてあまり乗らなかったが、「乗るとスゴイんです」という感じで、グイグイ進む。DE ROSAもだが、イタ車のグイグイ感は、どこから生じるのだろうか?
52×41 13~21 のギアだったが、アイズバイシクルで後ろを23までにしてもらった。
41×21でも、佐々里峠を問題なく上り、ギア比が大きくても踏み心地が良く、佐々里峠から花背峠ではなく、山国の谷から周山街道へと遠回りして帰ったこともあった。
この自転車はエアロをモチーフとして作られたショーモデルとのこと。
かつてレースによく一緒に行っていた、デトロイト出身のカーデザイナー、当時は京都の専門学校でカーデザインを教えていた、Hue・R・Wilson氏が、この自転車を見るなり、ボトルゲージを指差して、「オー エアロデザイン」と叫んだので、私は、初めてこの自転車がエアロ指向なのだと気づいた。Wレバーがエアロの為なのかタウンチューブの上に並んでいるのは、使いにくいので、やめてほしかったが。
写真:エアロなボトルゲージ
なんといっても金色メッキなのと、あちこちにCASATIの象嵌がしてあるのが、工芸品的で魅力的なのだが、見かけだけではなく、リアルによく走る自転車である。なんというか、走りがシャキッとして踏むと心地よい。軽量ではないが、走行感はヒラヒラ軽い。
グランボアOYAKATAランドナーを納車した際に書いたが、私の所有(した)自転車の中で、「乗り味選手権」があるとしたら先頭集団なのは間違いない。
写真:ヘッドラグまわり
写真:ヘッドラグまわり
写真:シートピラーとラグまわり
写真:シフトワイヤー(前)内蔵
写真:シフトワイヤー内蔵(後)、カンパ スーパーレコード
写真:カンパ スーパーレコード 52×41
写真:トーストラップにも、CASATI
写真:ブレーキ:スーパーレコード
写真:ハブもスーパーレコード
リムはFIRで、全てイタリア製品で統一されている。
写真:FIRシリウス チューブラリム
写真:CASATI ゴールドライン全体像
写真:CASATI ゴールドライン
失礼しました。
DE ROSA ネオプリマート ― 2021/11/29
DE ROSA ネオプリマート、この自転車でホビーレースに出走していました。最初はレーすに使うつもりなど毛頭なかったのですが、あまりにもよく走るので、レース用にせざるを得なかったのです。
イタリア本国に購入店(アイズバイシクル)を通じてセミオーダーし、ラグにメッキがかかっています。ネオプリマートは定番のモデルで、今に至るまで、様々なバリエーションがあると思います。私のネオプリマートの紹介まで。
写真:DE ROSAネオプリマート
写真:DE ROSAネオプリマート
フレームは骨太で従来の国産ロードレーサーとくらべて、ゴツいが、ラグは薄く削り込まれている
写真:ヘッドラグまわり。
チューブはコロンバスのジニアスだが、デローザ用のもの。
トップチューブにシマノ鈴鹿ロードの検車ステッカーがあって、懐かしい。
写真:シートラグまわり
エンドにもDE ROSAの刻印
写真:エンド
レコードフルセットというわけにはいかず、ディレイラーはコーラス
写真:カンパ コーラス リアディレイラー
チェーンホイールにはカンパ レコード。5アームのひとつがクランクにシンクロしている独特の姿に魅せられる。
写真:カンパ レコード52×39
ブレーキはレコード
写真:カンパ レコード
ホイールは、マビック キシリウム エリートを今は装着している。シルバーの完組ホイールというのも、今となっては貴重。
写真:マビック キシリウム エリート
「DE ROSA」は「DE ROSAという乗り物」だと感じる、良い意味で独特の乗り味、グイグイ進み、乗るたびに感動を与えてくれます。
失礼しました。
グランボア ほぼシュパーブプロ スポルティーフ ― 2021/11/29
久しぶりにグランボア サンツアーシュパーブプロ ほぼフルセット スポルティーフを連れ出して走ったので、掃除をしました。納車は2008年5月なので、もう13年も前ですが、輪行していないのでフレームのキズも少ないです。
ついでに自転車部屋の主として、唯2つ、サイクルラックに鎮座して、タイヤを地面に付けずに保管されているCASATIとDE ROSAも磨いて写真を撮りましたが、それらはまた別稿で紹介します。
写真:グランボア スポルティーフ
サンツアーシュパーブプロほぼフルセットのグランボア スポルティーフ。
なぜ、「ほぼフルセット」かというと、ヘッド小物がサンツアー スプリントなのと、チェーンがシマノ デュラエースだから。シートピラーはシュパーブだが、まあそれは不問。
シュパーブプロのブレーキは、リターンスプリングが内蔵され、外からは見えないという、マニアックな造り。そのブレーキに泥除けを付けられるようにして、スポルティーフに仕立てたのがこの自転車。シュパーブプロ フルセットのロードレーサーというのでは、サンツアーが健在なりし頃には、普通に存在していたであろうから、サンツアーが滅亡した後につくるには、もうひとつ面白くない。
写真:シュパーブプロ ブレーキ
シュパーブプロのブレーキは泥除けをつけることを想定されていない所謂「ショートサイズ」なので、ブレーキシューの取り付け調整幅の最大位置にして、泥除けを入れるスペースを確保するようにフレームをオーダーした。といっても、そのあたりのことは全てアイズバイシクルの土屋さん任せ。「泥除けをつけたシュパーブプロ」「ラグとかメッキにしてください」と要望を伝えただけ。
ラグも、よく削り込まれていて、今回、改めて惚れ惚れした。
写真:グランボア スポルティーフ ヘッドのラグ廻り
写真:クラウンのラグ
写真:シュパーブプロ 前ディレイラーとギア
写真:シュパーブプロ 後ディレイラー
写真:シュパーブプロ 前ハブ
写真:シュパーブプロ ハブ
写真:シュパーブプロ ブレーキレバー
写真:シュパーブプロWレバー
写真:シュパーブ シートピラー
シートピラーにはリクセンカウルのアタッチメントを付けている。若干不格好だが、走るときにはリクセンカウルのバッグを付けるのでやむを得ない。縦長でスマートで、ファスナー位置が上にあるので、ツーリング中にカメラ等を出し入れするのに、実に使い良い。
写真:リクセンカウル サドルバッグ 装着例
グランボア サンツアーシュパーブプロほぼフルセット スポルティーフ 全体像。
失礼しました
HONJO ロードレーサー3 ― 2021/03/19
写真:HONJOロードレーサー3
社会人になってから、ヤマネのランドナーで自転車生活を始めた私だが、近所にあったアイズバイシクルに出入りするようになって、TOEIのロードレーサーをオーダー。
当時はアイズバイシクルも土屋さん先頭に、シマノグリーンピアロードレースに参戦しており、私もレースを開始。
となると、渋いロードレーサーだけでなく、もっとレーサーレーサーしたのを欲しくなり、鳥取の本城さんにフルオーダーして、自転車ロードレースに目覚めた。
最初のHONJOレーサーは、内灘サイクルロードレースのゴール前集団大落車に巻き込まれ、フォークが曲がり、急遽2台めをオーダー。
2台めは1台目よりも、固いフレームを頼んだのだが、脚がついていかない感じがして、3台目を頼んだ。写真のものがその3台目。
コロンバスのジニアス ケイリンというチューブで、軽く仕上がっている。
その後、アイズバイシクルを通じてDE ROSA をセミオーダーしたところ、趣味の自転車というより実戦そのもの向きで、残念ながら(HONJOが素晴らしいと思っているので)DE ROSAをレースに使うようになり、HONJO3は、我が家の屋根裏収納に眠っている。
さすがにこれ以上、家には自転車の置き場がないので、当面そのままだろうが、いずれ、パーツを組み付けて、また乗りたいと思ったりもする今日このごろ。
写真:HONJOロードレーサー3
ホイールはチューブラ、FIR(伊)のリムを使っている。確か、「シリウス」だったと思う。その前はFIR「アルコー」という超軽量リムを使っていたが、軽ければ良いというわけではないと知った次第。タイヤは、もちろん定番のビットリア コルサCX。当時、1万円位したと思うので、万札を巻いて走って、パンクしたら終わり、ということ。よくやっていたと思う。
写真:HONJOロードレーサー3
美しく丁寧なラグワーク。
写真:HONJOロードレーサー3
パーツは74系デュラエースを前のフレームから移設しているが、ブレーキはデュアルピポットになっているので、ブレーキだけ買い替えたのかもしれない。
ナニワ銀輪堂の「カンビックス」でBSモールトン輪行 ― 2020/12/12
BSモールトンの分割式を20年前ほど前に購入し、純正の輪行袋も持っているのだが、実は2回しか輪行をしたことがない。
オリジナルの輪行袋(方式)は、フレーム保護の部材が多く、BSらしく?きちんと造り込んであるのは良いが、若干面倒に感じる。せっかくアーレンキー1本で、とても簡単に、自転車本体を輪行状態にできるのに、貴重品を梱包するかのような所作が必要となるのだ。貴重品といえば貴重品だが、機動性には欠ける。
写真:BSモールトン
ちょっと知らない街に行ってポタリングをするとかいうシーンにBSモールトンを持ち出したい。そんな思いを持ちながら妙案がない日々を過ごしていたのだが、「ナニワ銀輪堂」
の「カンビックス」という輪行パーツを使ってみたところ、バッチリであった。
の「カンビックス」という輪行パーツを使ってみたところ、バッチリであった。
写真:ナニワ銀輪堂の「カンビックス」
車軸のクイックレリーズのレバーの反対側の部品を「カンビックス」に交換して、輪行時に合体させて、分割したフレーム同士の接触を避けながら固定する仕組み。
写真:ナニワ銀輪堂の「カンビックス」での輪行状態
BSモールトンをカンビックスで輪行状態にすると、こんな感じ。
輪行袋は、手持ちの中からいろいろ試したところ、マルトのRK-01Lにした。
フルオープンで、実に簡単に収納できる。かなりブカブカであるがやむを得ない。
写真:マルトRK-01L輪行袋
写真:マルトRK-01L輪行袋
マルトの輪行袋は、なかなか親切な品で、袋の裏側には畳み方も印刷してある。オーストリッチに代表される一般的な輪行方法とは違うやり方で、使わないベルトもある。必要なものだけをチョイスするなど、自分なりに工夫して使えば良い。
冬の寒い日、モールトンでちょっと離れた街に輪行し、美術館や博物館を巡る、なんてこともしてみたいと思うこの頃である。
カンビックスを使用した輪行方法だと、実に簡単に、手も汚さず輪行できる。
キャンピング装備で走る(神明峠タイム比較) ― 2020/11/23
先日、キャンピング装備(テント装備一式、水やコンロも)で、いつもの裏愛宕を走ってみた。フロントバッグとフロントサイドバッグ、大型サドルバッグ(キャラダイス ネルソン)に詰めて。
同じ自転車に積載量を変えて比較したのではなく、印象論に過ぎないが。
写真:グランボア650Bデモンタ、キャンピング装備
前荷重で、走行感は全く問題なく、気持ちよく走れた。サイドバッグで低重心だからか、平地ではズンズン進んでいく感じで、独特の走行感が気持ち良い。ヒラヒラした走行感のライトウエイトスポーツカー的な楽しさではなく、大型トラック運転の喜びのようなものかもしれない。どちらも運転したことないけれど、想像するのに。
ブレーキも問題ない。荷重は10kg+位だと思うが、私よりも10キロ体重が重い人が乗っても、ブレーキ性能が破綻するはずもないから、尤もなことだと思う。
しかし、荷物が重いと、一定の斜度以上になると、苦しい。今回の私の場合だと、六丁峠はきつかった。筋力の問題だろう。
重量装備で走ったら、所要時間はどれくらい違うのだろうか?
そこで、ストラバで、これまでのデータを拾って、考えるヒントにしてみた。
いつでもどんな自転車でもツーリングペースで走っていて、タイムトライアル的な走りではない。
比較区間はストラバの「神明峠」。神明峠といっても峠のかなり先の裏愛宕ルートの最高標高地点までの区間のようだ。スタートはJR保津峡駅別れのあたりか。
「神明峠」 7.76Km、標高差384m、平均斜度4.9% と記されている。
ちなみに男性のトップは19分00秒、平均時速24.5km。2019年10月7日走行。
女性のトップは28分18秒 平均時速16.5km。2020年5月27日走行。この女性は大阪から144kmを平均時速28.7kmで走った行程の一部が結果計測されていてこれだから、すごい。
さて、私の走行例をいくつか拾ってみた
・走行日・使用自転車・タイム・平均時速
・2020/4/25・パナソニックシクロクロス・42分42秒 10.9km/h
・2020/5/5・パナソニックチタン・40分35秒 11.5km/h
・2020/5/9・TREKマドン・40分28秒 11.5km/h
・2020/5/17・TREKエモンダ・39分52秒 11.7km/h
・2020/5/23・TREKマドン・41分58秒 11.1km/h
・2020/6/24・パナソニックチタン・42分27秒 11.0lm/h
・2020/8/8・グランボア650Bランドナー・47分40秒 9.8km/h
・2020/8/22・TREKマドン・45分36秒 10.2km/h
・2020/9/12・kona ROVE ltd(650x47c)・50分59秒 9.1km/h
・2020/11/1・TOEI650Aランドナー・41分44秒 11.2km/h
・2020/11/3・グランボア650Bキャンピング装備・53分14秒 8.8km/h
・2020/11/8・パナソニックチタン・39分01秒 11.9km/h
いつもはこの区間を40分前後で走っていることになる。車種による違いは思っていたほど大きくない。暑さや体調による差のほうが大きい感じだ。
キャンピング装備だと、やはり遅くなる。
5日後のロードレーサーのタイムと比べると30.7%、前々日のランドナーと比べても22.1%遅い。ロードレーサーとランドナーの差は6.9%。ランドナーのときは、いつもにましてのんびり走りがちなので、登坂性能差がそれだけあるというわけではないと思う。
気合を入れた走りではなくて楽ちんペースでいつも走っているとはいえ、タイムトライアル的に走ろうと思っても、タイムが2/3に縮まるわけでもないだろう。自然に走ってのタイム差としては、上記のデータで特に違和感はないと思う。
重たいキャンピング装備で峠を登ると、レーサーで走るいつものペースの3割増をみておかないといけないということか。平地や下りではそんなに差は出ないと思う。
以上
TOEI650Aランドナー(2020年10月版) ― 2020/10/26
写真:TOEI650Aランドナー ダイナモとライトを外し、前ドロヨケを整形
写真:2020年10月改 TOEI650Aランドナー
「鮒釣りに始まり鮒釣りに終わる」という格言があるが、自転車を趣味とする私にとっての「鮒釣り」こそ、このTOEI650Aかもしれない。まだ終わる気持ちは毛頭無いとはいうものの。
TOEI650Aランドナー、私が初めて入手したスポーツ用自転車、1987年のこと。京都のスポーツサイクル ヤマネ で店主の山根徳太郎さんに薦められて清水の舞台から飛び降りる気持ちで注文した。今ではフレーム代にもならない15万円だった。
その後、クランクをスギノPXからTAに交換したのを始まりに、当時西大路に開店して間もない「アイズバイシクル」にて、たむろしていた今はシマノの幹部社員になっている立命館大学のRUCCと名乗る自転車ツーリング部員のT氏からカンパレコードのハブを譲ってもらって交換したり、スポークもバテッドに組み替えたり、ディレイラーもいろんなのを試したりとか、一時期はパスハン風になったし、前パニア台付のキャンピング風に改造したこともあった。
購入当時のパーツのままなのは、前後ディレイラー(サンプレックスの普及品)、TAアウター46T、アラヤ20Aリムだけ。どれも途中で別のパーツに変えていた時期が長いので、ずっと使い続けていたわけではない。
新型コロナウイルスのダメージが様々なところで顕在化する状況下、自分自身については還暦が近づき、いつまで働くことにしようかなど毎日思案している中、シンプルな生き方というか自転車もシンプルに改造したくなり、このTOEI650Aのダイナモとライトを外して、究極の輪行対応ランドナーにプチ改造した。
後ろディレイラーが縦型のサンプレックスなので、輪行時にエンド金具不要。前後輪を外して後ろドロヨケをI'S式の簡便な方法で抜き、ハンドルを90度曲げれば、オーストリッチの縦型輪行袋に収まる。前キャリアがなく、リクセンカウルのアタッチメントなので、収納もスリム。
エンドが120mmでスプロケットは5枚だけど、必要にして十分。
この自転車を入手した後で、6枚、7枚、8枚、9枚、10枚、11枚、12枚ある自転車が登場し、今もそれぞれを楽しんでいるが、速く走ったり楽に坂を登るには、機材よりも身体能力いうのがシンプルな結論。そうはいっても、、というところで多くの人が、自分自身も含めて、試行錯誤して楽しんでいるのだが。
想像するに、いろんなところを旅行した人が故郷の山河の良さに改めてしみじみと感じ入るようなもので、私にとっての故郷の山河は、このTOEI650Aなのかもしれない。
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