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京都北山 「久多」の里とオグロ坂、八丁平2024/12/06

京都市左京区、といっても全くのルーラルなエリア、京都市の北東端に久多という地区があります。京都市への編入は1949年で岩倉、八瀬、大原、鞍馬、花脊と同時期であり、決して昨日今日京都市になったのではありません。もっとも京都市になったからといって、生活上は別に何が変わるということもないのでしょうが、やはり住所が”京都市左京区”であるということは、人々の意識にも何らかの影響を及ぼしてきたのかもしれません。

というのは、私は山陰の地から進学で京都に来て、学生時代オートバイで京都近郊を走りまわったのですが、その時驚いたのが、京都をとりまくルーラルな集落景観が美しいということでした。卒業してからは今日まで自転車で細かく走り回っていますが、その思いを強くしています。乱れて醜くなっている箇所が年々増えてはいますが。

家の造作や周囲の手入れをはじめとして、細やかな気配りから成る集落景観、”京風”ルーラル景観なのかもしれません。
家族にとって気持ちよいと同時に、人に見られることを良い意味で意識している景観という気がします。

京都の寺社仏閣や大店、お屋敷関係の仕事に携わったり、若いときに京都で働くなど、何らかの関係で美しい部分の京都、よいものに触れてきた影響があるのかもしれません。古くは貴人が隠棲してきた鄙の地であったりもしますし。

今回、山岳会のメンバーと朽木から峠道を探索しながら山を越えて久多上の町に降りて宿のある久多下の町まで歩いたのですが、その凜とした集落景観に感動しました。
集落ごとに文化財の紹介も兼ねた案内板があったりとか、なにか文化的な雰囲気が伝わってくるのです。そういえば、久多の花笠踊りは重要無形民俗文化財に登録されています。

翌日は、古道の「オグロ坂」を登って八丁平という自然生態的にも貴重な場所を経由して、そのまま鞍馬まで歩いて帰りました。

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久多上の町、の景観。耕地もよく手入れされています(近年の日本全国そうであるように潰廃した農地もないわけではありませんが)。
京都市左京区久多
京都市左京区久多

久多のそれぞれの地区ごとに、このような案内板があります。イラストの花がいい感じ。地元の方のアイデアなのでしょうか。
京都市左京区久多

久多の大杉。
久多の大杉

久多の志古淵神社。この近くに宿があります。
志古淵神社

そういえば、久多の地元の方が綴った本が家にあるので、今回、ちゃんと読んでみました。
研究者や旅の人が記した文章よりも、リアルに地元の生活が伝わり、読み応えがありました。昔の人は、ほんとよく働き、生きる力と知恵がすごいと感服します。
今でも手に入るのかと思って検索してみたら、amazonで8000円にて出品されていてビックリ。


民宿「久乃屋」
久多 久乃屋

久乃屋の部屋
久乃屋の座敷

床の間。書の意味も教えてもらいました。

囲炉裏で暖まりました

現代ではこのような囲炉裏の造作をすることは不可能と言っても過言ではないでしょう

炭は、近在の花脊産。

部屋も廊下もピカピカに磨き上げられていて、私がこれまで泊まってきた宿の中で、比類するところは思い当たりませんでした。唯一、例外といえるのは、近在の美山荘です。美山荘は義母が大好きで、何度か伺ったことがあり、私の一番好きな宿です。

風呂やトイレは、新しいものに完全に改装されていて、誰でも快適に使えます。

料理の写真はありませんが、地元の食材を地元の調理法で仕上げておられ、料理旅館と名乗れば良いのではないかと感じました。

翌日は、久多からオグロ坂へ。
廃校になって久しい、久多小中学校前の道路にて。

魚が沢山いるらしい久多の川。
久多

オグロ坂といえば、もう30年以上前になりますが、開店して間もない「I’s Bicycle」のツーリングで八丁平側からランドナーで下ったことを覚えています。結構乗車率が高く、楽しかった記憶。久多に降りた時には日暮れ近くになっていて、そこにはI’s Bicycleの土屋さんのクルマ、当時は三菱のデリカ、が待機してくれていて帰路につきました。良い思い出。

オグロ坂

宿を出てから2時間弱でオグロ坂に着きました。途中、いろいろ探索したりしての時間ですが。

オグロ坂、久多側から。
八丁平側から見たオグロ坂。お地蔵さんの祠があります。

オグロ坂を越すと、八丁平湿原です。丹波高地にあっては貴重な高層湿原の位置づけです。

八丁平

八丁平には林道を通す計画がありましたが、広範な市民の反対で中止されました。
かつては自然破壊そのもので荒々しかったであろう林道も、年月を経て周囲と馴染んできているように思いました。

この後、フジ谷峠(跡)を探索し、大見尾根から杉峠、花脊峠の道を歩いて鞍馬から叡電で帰りました。

◎歩行日:2024年11月16日(土)~17日(日)
◎宿泊:民宿「久乃屋」京都市左京区久多

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