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WINDCOG(ウインドコグ)小径折り畳み自転車のこと2024/09/15

WINDCOG
写真:リクセンカウル・オールラウンダーツーリングバッグ、純正シートチューブバッグ用専用ケージ、前マッドフラップ(社外品)、CAT EYEランプホルダー装着例。

折り畳み自転車で目にしがちなのは、ホームセンターや通販で売られているような粗悪品が錆だらけで放置されていたり、そんな元々走らなくてしかも整備されてないものをギコギコ苦しそうに無理やり漕いでいる姿。

時々、輪行ツーリングする人にも出会うが、ランドナーを愛用している私は、つい「もっとツーリングに適した自転車があるのに」と思ってしまう。こんな私の方が世間的には少数派で、ランドナーの輪行を知る機会もなく、知っても敷き居が高いように思い、相談や購入できるショップも近くになく、折り畳み車を選択する人が多いのだと推測する。

折り畳み車とは、似ているようで別だが、「ミニベロ」と称される小径車というジャンルがあり、こちらのほうは、自転車趣味の人が1台は持つのがたしなみのように思われていた時代があったかもしれない。例をあげると、有名フレームビルダーが手がける小径車など。

私も、ランドナー、スポルティーフ、レーサー、MTBとそれぞれ楽しむ中で、小径車が欲しくなり、BSモールトンを20年以上前に購入した。

あと、この方たちが小径車、折り畳み車の本流であってほしいが、折り畳み小径車のメカニズム的なものや制限がある中でのパフォーマンス最大化を探求して、小径車を究めようとする人たち。

そういうスピリットを感じたのが、今回とりあげる「WINDCOG」。
折り畳み小径車について尋常になく探求している人が作り上げた逸品だと、直感的に思った。
ツーリングを念頭につくられ、泥よけが標準装備というのが素晴らしい。前後キャリアも専用品が日東の制作で存在しているなど、レベルの高さが推測される。

こういう製品は、あるうちに購入しておかないと、採算的に最初のロットが終了したら再生産はないかもしれないという心配もあって、購入することにした。
ちょうど、会社員時代にある意味縁のある「ナニワ銀輪堂」が扱い店だということもあるし。

想定用途としては、例えば京都から阪神間の美術館を巡るとか、走行時間以外をそこそこ費やすミニトリップ。一日に何回も輪行する場合とか。もちろん、気楽なワンデイ輪行ツーリングも。

いくら苦でないといってもランドナーで輪行して駅前で組み立てると、もっと長距離、峠の向こうまで走りたくなってしまうのは目にみえている。走行時間以外が長いと、フラストレーションがたまりそう。

と前振りが長くなってしまったが、とにもかくにもウインドコグという折り畳み小径車を購入し、いつものルートを走ってみたので、そのインプレッション。

コースは京都の保津峡から愛宕山の裏を走る山間の道で、途中に急勾配の峠がある。
その峠での上り下りで、これまでも多くの自転車を評価してきた。ロードレーサーからMTBまで。もちろん、ランドナーも。

ウインドコグについては、一言、何の不満もありません、ということ。
とても良心的な価格で販売されているので、パーツはこれまで私が使ったことのないようなメーカーのものばかり。

ブレーキがテクトロというメーカーで、ダイアコンペ製品に交換したかったが、購入時にその旨を頼んだところ、メーカー在庫を切らしている、とのことでそのまま使っている。

クランクも聞いたことのないメーカーのもので、どうかなあ、と思ったがシルバーパーツというのが今や絶滅危惧種になっていて、デフォルト製品のデザインも決して悪くないので、そのまま使っている。デフォルトのサドルも快適。

変速関係も、デフォルトで全く問題ないので変更する気持ちはない。ギア比も、いつもの急勾配の峠を登るのにも適切(最大ローが42x28、20インチ)で、全く問題ない。
ペダルだけは、三ケ島製品に替えた。

パーツの選定もよく考えられていて、「失礼しました、ほんと良く考えられていますね」というのが感想。専用輪行袋もよく考えられていて、感服した。

ライディングポジションも、ばっちり(私の身長は175cm)。
小径車にありがちな、短いホイールベースということはなく、実測で97cm。私のロードレーサーのひとつ(700C)と1.5cmほどしか変わらない。車輪の大きさが違うので、その差が有意なものなのかどうか、フレーム設計の知識がない私にはわからないが、乗車感覚としては違和感がない。視覚的にはホイールベースはもっと短いかと思ったが、そんなことはなかった。

というわけで、散々自転車三昧してきたけれど、このウインドコグの場合、完成車状態で全く問題なく、気持ちよく走れる。

唯一、手を入れたいのは、やはりブレーキ。実用上テクトロのデフォルト製品で問題ないが、感触という点では、感動がない。
私にとってカンパ・コーラスのブレーキフィーリングが大好きで(ブレーキ単体で決まるものではなくフレーム・ホイール・タイヤ等とのマリアージュではあるが)、峠の下りでコーラスのブレーキを使用する度に、この感触のためにもう一度坂を登りたいと思ったりするが、そこまで求めることはなくても、もう少しジワっと効く感じ、入力に対するリニア感が欲しい。ブレーキシューだけでも替えてみたい。

WINDCOG
 写真:いつもの場所で。WINDCOG。

WINDCOG
 写真:ウインドコグ。この位置のボトルケージで、舗装路走行中にロングサイズのボトルが落ちてしまった。通常サイズなら問題ないか。

WINDCOG
 写真:ウインドコグのドライブトレインと折り畳み機構

ウインドコグ
 写真:ウインドコグのリアエンド廻り

<追記>
フロントハブのところの凸部(磁石付)とリヤハブのところの凹というか穴とを合わせて折り畳んだ後、組み立てるときになって、その2つがなかなか外れない事象が生じた場合には、アーレンキーで後ろハブのアクスルをちょっとだけ回すと結合部の角度が変わり、スムーズに折り畳み、外しができます。
「外れやすい」というクレームがあったからか輪行袋にはそれ対応用の小さい部品が付いていましたが、私は使っていません。かえって面倒ですし、私は古チューブ(細いラッテクスチューブが最高ですが、ブチルチューブでもOK)でハンドルと折り畳み状態の前と後ろを結んで、かっちりズレないようにしています。チューブで結ぶなどほんの10秒位のものですから)

<追記2>
ナニワ銀輪堂に、ウインドコグ純正のシートチューブバッグを受け取りに往復自走で行ってきました。京都から大阪大正区には、桂川、淀川のサイクリングロードを走って不快な道を走ることなく行けます。往復で120km。

往路は凄い向かい風。インプレッションには最適です。上り坂は先日の走りで体験して、全く問題ない受け止めでして、平地の向かい風はどうなのか興味がありました。

走らない自転車というのは、自分の入力に対して、期待よりも前に進まない自転車。後ろタイヤがスローパンクしてるんとちゃうか、とかチューインガムが張り付いているんとちゃうか、みたいな感じ。軽量なカーボンロードフレームでも、その点で気持ちが良くなく、すぐに手放したものもあります。

ただ、体感的には遅いようでも、タイムを計ってみたら実は速かった、という自転車もあります。そういう自転車は私の経験上ではフレームやホイールが自分にとって固い自転車。ブリヂストンのアンカーのロードレーサーがそうでした。

競技に使うわけではなく、ツーリングで使う分には、踏んで気持ちよく、踏み続けても疲れない、一生懸命踏むと速いけど筋や筋肉が痛くなる自転車でない、のが良いです。

強烈な向かい風できついけど、踏む分には不快でない、そういう自転車が良いです。
その意味では、今回のウインドコグは、大丈夫でした。

GPSのログを帰宅後に解析すると、今回、平地を往復120km走ったのですが、帰りは追い風の区間が少しあった程度ですが、実は時速30km以上は、ほとんどありませんでした。

踏み味は軽く、スムーズに走っているようでも、それが小径車だからどうかはわかりませんが、ウインドコグは時速20km〜30kmで巡航するには気持ちよい、実は30kmで走っていてもそれ以上スピードが出ているような気にさせてくれる自転車です。

時速30km以上で巡航したいという用途ならば、やはりロードレーサーでしょうが、荷物を積むとか諸々考えるとツーリングにはどうかな、と思います。サポートカーがつくスポーツライドならいいのでしょうが。
誤解のないように記しておくと、ウインド・コグが時速30km以上出ないとかそういうことではなく、私の脚力との関係でそうであったということ。下りでは時速40km以上でもしっかり走りますし、高速安定性に問題があるわけではありません。小径車であることのネガは感じません。

ランドナーならロードレーサーほど高速巡航に特化しているわけではないけれど、あらゆる面で守備範囲が広いと思います。

ところで、小径車でいうと、ブロンプトンが有名で、走っている人に時々会いますが、ブロンプトンの巡航速度というのは独特というか、押し並べてのんびりのように思います。だからといって、本人がそれで楽しんでいるのを他人がとやかく言う必要はないですし、それが自転車のせいなのか、そもそもブロンプトン愛好家というのがのんびり走る嗜好性をもった人ばかりなのか、そのへんはわかりませんが、出会う度にそうなので、不思議に思います。旅の手段にブロンプトンを選択するのではなく、愛用のブロンプトンで走るのが目的であるのかもしれず、その気持ちはよくわかります。

平地と坂道を走った、私なりのインプレッションとしては、時速30km位で走るのにはウインドコグは気持ちよく、アゲンストな状況でもペダルが踏める。荷物の搭載も工夫されているので、ロングツーリングにも対応できるのでは、小径車なのでフロントサイドバッグにすれば重心が低く、地をはうような走行感覚が得られるのではないか、というところです。タイヤがやはり小径であるのと、太くないので、42Bランドナーのような、どっしりした安定感は得られませんが。

与謝蕪村生誕地
写真:大阪・与謝蕪村生誕地

中之島公会堂
写真:大阪・中之島公会堂

<追記3>
その後の改造
1)ブレーキシューをシマノ アルテグラ用 に交換・・・テクトロのブレーキシューはシマノのとほぼ同サイズなのか、特に調整することなく簡単に替えられました。シマノのシューは屋根裏収納庫にあった取得時不明のものですが、問題なく使え、ブレーキング時の感触もくいつきのじわり感が出てよくなりました。

2)サドル交換・・・ウインドコグ純正のシートチューブバッグを装着する際には、サドル下にストラップを通すのですが、デフォルトのサドルはその部分がスリムでストラップを通すのに少し手間取る(ちゃんと通りますが)こともあり、これも屋根裏収納庫から救出したベルトゥの革サドルに交換しました。デフォルトのサドルで不満はありませんでしたが、やはり革サドルのほうがしっくりきます。イデアルやブルックスよりもスリムなのでウインドコグには似合うと思っています。

3)ボトルケージ・・・20年以上前に購入したミノウラのペットボトル用のケージにしました。飲み口のところにゴム製のストッパーがあるので確実にボトルを保持できます。


コメント

_ きんなん ― 2024/10/22 20:48

こんにちは。
ナニワ銀輪堂さんのブログを見て「WINDCOGを購入された方がいたのか」と興味を惹かれていましたが、こちらの記事でそれが山と自転車さんであると知り個人的に大変驚きました。

というのはWINDCOGのコンセプトに個人的に非常に感銘し、いつか購入してみたいと思った自転車であったからです。
しかし私事ですが、自分は昨年ブロンプトンを購入してしまったのです。時系列としてはWINDCOGの存在を知ったのはその後でした。
値段的にそうポンポン増車出来るようなものではなくWINDCOGは一旦いつかは乗ってみたい自転車の枠になっています。

 ただもうひとつ言うと、ブロンプトンに対しては購入を後悔しているどころか自分の中での自転車観が一変するほどの感動を受けました。
現在では日常の足としてほとんど毎日のように乗っています。
これほど走行性能と折り畳みの容易さ、積載能力を並行して実現している自転車は他にないと思います。その設計の緻密さには驚嘆します。

もうひとつその設計に関心したのはフレームがスチール製であること、BBやヘッドパーツなどはランドナー等と同じ一般的な規格であることを始めとして「長く乗る」ということを前提にしていることです。
他社の折り畳み自転車を見ると、10万円前後やそれ以上する名の通ったメーカーのものでもフレームはアルミ製、数年乗ると折り畳みヒンジにガタが生じてくるような設計のものが多く、10年はとても乗れないような「使い捨て」のような設計のものがほとんどです。
この点を考えるとまさにブロンプトンは唯一無二であり、この分野で不動の地位を築いていることも納得です。

ブロンプトンではゆっくり走っている人が多い印象があると記事内で書かれていましたが、この自転車はのんびりしたケイデンスでゆっくり走るのが気持ち良い特性の自転車だと感じますので、乗っている自分の感覚からするとこれは納得できるものがあります。自分の場合具体的に言うと時速20km前後ですね。
ただし標準のギアは重めなので踏み込めばそれなりに速度は出ます。足のある人なら平地を30km巡航するのもさほど難しくないと思います。

一方で長距離は向いてないですね。自分はランドナーなら1日100km前後は走れる程度の脚力ですが、その自分がブロンプトンに乗って平坦を50kmくらい走るとどっと疲れてきてもうお腹いっぱいの気分になります。
ブルベなどを走れる強靭な体力の持ち主などを除けば、設計上の想定としても連続の走行距離は50km程度がマックスと見ているのではないかと思います。

ブロンプトンは荷物の積載能力も優れているためツーリングやキャンプも可能なのは間違いないですが、ロングライドを快適にこなせる設計では明らかにないためランドナーなどと比べてツーリングが快適だとは全く思いません。
もし自分が数泊の自転車ツーリングに出かけるとしたら間違いなくランドナーの方を使用すると思います。

しかし折り畳み性能は驚愕という他なく、慣れると10秒で小さめのスーツケースくらいの大きさになります。輪行袋に詰める時間を含めても30秒程度です。
一般的な自転車を輪行する感覚とは全く別次元であり、輪行という行為を全く別の尺度で考え直す必要があります。
そのためブロンプトンの性能を評価するのだとしたら走行性能だけではなくこの点も勘案しなければならないなと感じました。
長い距離やしんどい峠などは自走で頑張るくらいなら、デポや輪行で道程をショートカットすれば良いという考え方です。


 長々と語ってしまって大変失礼いたしました。
ランドナーとブロンプトンの両方に乗っている者として、どちらも非常に素晴らしい自転車であること。性能の方向性が全く違う故にお互いの用途を食い合うことなく上手く棲み分けできていること、一方でもしブロンプトンを購入する前にWINDCOGという自転車を知っていたらもしかしたらこっちを購入していたかもしれないということ。
諸々から浅からぬ縁を感じてしまい、ブロンプトンも大変優れた自転車であるということをお伝えしたくなりコメントさせて頂きました。

_ 管理人 ― 2024/10/29 21:00

コメント、ありがとうございます。
なるほど、ブロンプトンの魅力がよく判りました。
普通の人は50kmも自転車で行こうとは思わないでしょうから、ニーズに合っているのですね。
それにしてもブロンプトンの値段がものすごく上がっていて驚きましたが、鉄のベーシックなもので永く乗れるのなら良いですね。
チタンは、私はパナソニックのレーサーもあり、それはそれで気に入っていますが、ブロンプトンのチタン、さすがにあの値段では欲しいと思わない次第です。自転車全体が(特に外国のメジャーなメーカー)著しく高価になっているので、ビジネス的にはそうなのかもしれません。

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