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志摩半島・安乗埼と大王埼灯台へ(2018/2)2018/02/27


大王埼灯台
写真:大王埼灯台

 少々の雪ならMTBで積極的に楽しめるが、今回は雪の無いエリア、日帰りでなるべく温かそうなところ、と考えて志摩半島に行くことにした。

京都の自宅をクルマに自転車を搭載して出発。名神高速道路の電光掲示板には、関ヶ原付近はチェーン規制と表示。目的地は志摩なので新名神を選ぶが、鈴鹿峠付近は淡い雪景色だった。

亀山を過ぎると、天気は晴。伊勢から志摩への道は、路肩も狭く山間のカーブの多い道で、自動車ならいいが、自転車ではあまり走りたくない感じ。

阿児アリーナ駐車場にクルマをデポ。安乗埼(あのりさき)を目指す。風が強いが晴れて明るい。

志摩国分寺の前を通ったので、せっかくなので立ち寄る。ちょうどお寺の方がいらっしゃって本堂を案内してもらえ、ありがたいことであった。
志摩国分寺
写真:志摩国分寺

しばらく走ると「渡鹿野島(わたかのじま)」への渡船案内板があった。

渡鹿野島は、今では普通の観光地に転換してきているが、まあ、何らかの目的意識(探検してみたいとか一度実際にみておきたい等も含む)がなければわざわざ立ち寄ろうとは思わない。とはいえ、どんな島なのか遠くから観てみるのもよかろうと思って、渡船場までピストン。

2017年発行のルポ本が私の職場のビルにある書店にも並んでおり、ツーリング後に買って読んでみた。興味本位ではなく冷静に書かれているが、扱っている時間軸は近年。

風俗ライター的立場からでなく、渡鹿野島について記してある文章で参考になったのは、
(人間学工房 「三重県志摩 民俗資料館をつくる」)
ttps://www.ningengakukobo.com/single-post/mieshima

戦前の情景を知る手がかりとしては、大阪毎日新聞の写真部長もつとめた北尾鐐之助の「近畿景観 伊勢・志摩」創元社1942がある。
「先年電鉄会社が、ここを志摩の桃源郷の如く宣伝しはじめてから、善い意味にも悪い意味にもその方に発達して、全島が脂粉の香に蔽われ、むかし波枕の漁師のみを相手にしていた青楼が、いつか大阪、神戸あたりの客を引くことに憂身をやつすようになった」など北尾は格調高く描写している。北尾がこの島に滞在したのは2時間程と記されている。
 宮本常一の著作を探ると、江戸時代の頃から風待の船員を対象として栄えた旨の記述もあるので、漁師のみを相手にしていた場所ではなかろうが。
渡鹿野島渡船
写真:渡鹿野島渡船場

そんなこんなで、いろいろ見聞しながら、ようやく安乗埼に到着。
全国に15ある登れる灯台の一つ。灯台は当然のことながら見晴らしのよい所にあるのが普通なのだが、安乗埼灯台は、これまで訪問した中でも、特に眺望がすばらしく、感動した。
安乗埼灯台
写真:安乗埼灯台

映画「喜びも悲しみも幾年月」の舞台にもなっており、帰宅後、amazonで中古DVDを取り寄せた。木下恵介監督、1957年のオリジナルは高峰秀子と佐田啓二。1986年の新編では佐田啓二の息子の中井貴一も出演、灯台守夫婦は加藤剛と大原麗子。新編の公開当時、私は既に就職していたのであるが、当時、この映画に関心を持った記憶は全くない。今、観ると、1986年というのは全てがずいぶん昔だったのだなという感想。同時代を生きていたのだが。人間の本質は昔からそんなに変わってないと思うが、社会はものすごく変わっている。

安乗埼灯台見学の後は、よそ者が自動車で通過するにはとても憚られる狭い道の安乗の集落を自転車ということで遠慮無く周回し、観光地ではない漁村集落にも立ち寄り、大王埼へ向かった。
安乗の散髪屋さん
写真:安乗の散髪屋さん

夏なら海水浴やサーフィンで賑わうであろう海岸沿いの道も、この季節は静かであった。大王埼は灯台の門前商店もあったりして、昭和の観光地という感じで、趣があった。

志摩は「島」だというのが、自転車で走ってみての感想。基本、道は尾根伝いにあり、リアス式海岸の入江的な地形が無数にあり、海水の浸入リスクもあり未利用地も多い。

「伊勢志摩」と一括りにされることもおおいが、伊勢と志摩は全く別の個性。伊勢は農業国で志摩は漁業国、壱岐と対馬の対比のように感じられた。

【走行日】 2018年2月18日(日)
【使用自転車】TOEI650Aランドナー
【峠】 -- 【岬】安乗埼(あのりさき)、大王埼
【行程】
自宅6:10=新名神・伊勢道=阿児アリーナ9:00~9:45志摩国分寺10:05~渡鹿野島渡船場10:15~10:40安乗埼灯台資料館・灯台11:05~11:36阿瀨~12:25志島小学校~12:50波切(昼食)~13:27大王埼灯台14:10~15:03阿児アリーナ(デポ地)=京都

コメント

_ 仙人菩薩 ― 2018/03/03 00:36

鳥取県生れで、京都の大学を出た詩人 伊良子清白の「安乗の稚児」を思い出します。詩集「孔雀船(くじゃくぶね)」は岩波文庫にも入っています。

_ 管理人 ― 2018/03/05 22:12

コメントありがとうございます。伊良子清白はノーチェックでした。早速、kindleで「孔雀船」をダウンロードしました。鳥取の曳田出身の詩人だとは知らず、失礼しました。

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