丹波・美山鶴ケ岡の献灯「上げ松」見学 (2019/8) ― 2019/08/27
丹波の各所では、8月の下旬、「上げ松」(松上げ)と呼ばれる行事が行われている。
写真:美山・鶴ケ岡(川合)の「上げ松」
「南丹市美山エコツーリズム推進協議会」が運営するwebによると。「上げ松」とは「...火祭りで、川べり一帯に点された松明を、高さ20mを超える灯篭に放ち点火させ、農作物の豊かな実りへの感謝と火の神「愛宕神社」へ火魔封じを願い、献燈されるもの」とのこと。
学生の頃、民俗学のリポートのため、単車で洛北・花脊の「松上げ」を見に行った覚えがあるが30数年ぶりである。
炎を扱う行事として「五山送り火」、「鞍馬の火祭り」のように有名ではないが、観光化される以前の地元の行事としての良さが残っているのが「上げ松」(松上げ)ではなかろうか。
花脊や広河原には観光客も多いと聞き、美山の鶴ケ岡に行くことにした。自分も観光客なので、すみませんが。
まずは昼間に自転車で下見。夜の行事なので、夜はクルマで行くとしても、駐車場や見学場所など、押さえておく必要があるという理屈で、自転車ライドも楽しむ。
今年は去年と比べて暑さが断然マシで、当日の8月24日、京都市内の最高気温が32度か33度であった。郊外を自転車で走っていると、風が心地よく、日陰は涼しく、「昔の夏はこんな感じだったな」と身体が思い出した。
写真:弓削の大杉
周山を過ぎて、弓削小学校(現・京北第三小学校)にある「弓削の大杉」の大きさに改めて感動したりしながら美山へと走る。
写真:こまめ食堂
バイパスを外して旧道をホロホロ走っていると、新たに食堂ができていたので早めの昼ごはん。犬好きの人のための食堂で、犬も座敷に上がれて、犬用のメニューもあった。北山には、アーティスティックであったり「エコツーリズム」的なテイストで開業しているお店が散在して、地域の魅力を高めている。
写真:周山街道を鶴ケ岡へ
久しぶりに九鬼坂を超えて、鶴ケ岡を目指す。以前、「美山ロード」という公道自転車レースに出走していた頃には、とても苦しい坂だと感じたが、ローギヤが充実した自転車でマイペースで走ると「こんなに楽だったんか!」という感想。以前の方が、体力はあったことは間違いないが。
写真:鶴ケ岡にある「たなせん」という名の総合商店
今夜は「上げ松」だけでなく地区の盆踊りも開催されるので、地区の中心エリアにある総合商店「たなせん」広場に、その準備の方が集まっていらっしゃった。冬にスノーシューで若丹国境をテント泊で歩いた際、下山時に「たなせん」に寄って一息ついたのも懐かしい思い出。
帰路に、昨年にオープンした「一禾(いちか)」というモダンな料理屋さんに晩ごはんの予約をして、いったん自宅に帰り、シャワーを浴びて、今度はクルマで鶴ケ岡に戻った。
写真:旬菜「一禾(いちか)」:京都府南丹市美山町鶴ケ岡
「一禾」は自転車チームメイトであって「京都府の名工(日本料理)」で表彰された実績もある、本業は京都の料理専門学校の日本料理師範の教え子さんがオーナー。
店内の誂も品よく文化的で、同じ空間が京都市内のしかるべきところにあったなら、とてもこの値段では提供されないだろう。
食材も地元のものがほとんど、例えば、鮎も美山の天然鮎、野菜も米も、もちろん地元産、といった具合で、京都市内から食べに行くだけの値打ちがある。
でも下手にタイヤ屋のガイドブックとかに載ると嫌なので、あまり有名になってほしくない。一禾は1人でオペレーションされているので、時間に余裕のある時に行くのがよい。美山荘も良いが、一禾も良い。美山には「枕川楼」という料理旅館もあって、旧館の心地よさは今でも忘れられない。新館を増築されて、そちらは、まあ普通の旅館建築という感じになってしまったが、料理の美味しさは変わらない。
一禾のドアを開けると、オーナーのお姉さんの書「瑞気集門」が迎えてくれる。
店内の誂と料理は写真に撮らなかった。訪ねてみてのお楽しみ。
で、肝心の上げ松も、よい場所でゆったり見られた。
写真:美山 鶴ケ岡の上げ松
運動会の玉入れのような感じで、松明をクルクル回して目標の灯籠に投げ入れる。年によっては4時間位かかることもあるとのことだが、今回は30分程で点火し、よい塩梅だった。
すぐ近くでもう1ヶ所、上げ松をやっているので、そちらも見学。
川沿いに電灯ではなく、リアルな火を燃やして、道案内としているのにも感動した。
写真:美山 鶴ケ岡(殿)の上げ松
「たなせん」前ではフォークダンスの音楽も流れていた。
写真:たなせん前の夏祭り
見世物ではない、地元の人の夏の行事を見学させてもらい、とても良かった。
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