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HさんのTOEIランドナー(1991年製)2019/07/09


写真:HさんのTOEIランドナー

1991年6月、伊勢志摩で開催された「(取引先の)優秀店婦人招待旅行」に、当時「販売担当員」であった私も同行した。

帰路、敬愛する部長のHさんから「(奈良の)山の辺の道を自転車で走りたい。ついては自転車をつくりたいのだが」とお声がけ頂き、早速、京都・竹屋町の「スポーツサイクル ヤマネ」に直行した。

店主の山根徳太郎さんに対応していただき、確か1ヶ月ちょっとして、完成の知らせがあり、当時のマイカーであったファミリアワゴンに載せてHさんのご自宅までお届けした。

「(自宅から練習のため)亀岡方面に何度か走ったよ」、と声をかけていただいたりしたのだが、なんと非情なことに、Hさんは病気を発症され、自転車に乗れない身体になってしまわれた。不幸中の幸いで、療養後、仕事に復帰され、その後、衆目の一致するところで取締役に就任され、グループ会社の監査役等、様々な役職を歴任された。

そのHさんから先日、「自転車を引き取ってほしい」と連絡をいただき、ご自宅に伺った。
屋根裏収納庫に時が止まったかのように保存してあった自転車を、持ち帰ってから磨いた。

1991年にタイムスリップしたような、何の改造もされてないオリジナルの姿。
フランス部品が普通に使われていた最後の時代の構成で、ある意味貴重である。マニアがアッセンブルするのとは違った「用の美」があるともいえる。

私が所有するわけにもいかず、やはり若い人に使っていただくのがよかろうとHさんの同意もいただき、そうすることにした。クロモリフレームなので、28年経っても、何の劣化もなく、安心して使える。これから、どんどんいろんなところで愛用してもらえれば、本望だ。


サンプレックス ALPHA
写真:変速機は、サンプレックス(仏)のアルファ。デルリン製で白色。

写真:ダイナモも白色

マハック クリテリウム 黒
写真:ブレーキはマハック(仏)クリテリウム。黒色は珍しい。

TA
写真:チェーンホイールはTA(仏)シクロツーリスト 48×32。クランクはスギノPX。

スズエのハブ
写真:ハブは国産のスズエ。

栄のハンドル
写真:ハンドルはサカエ。


スポーツサイクル ヤマネ
写真:ヤマネのステッカー

写真:次のオーナー探しをアイズバイシクルにお願いした

                                      以上

TREK Madone5.2をツーリング用フロントシングル改造2019/07/13

TREK madon5.2
写真:TREK Madone5.2改(2007年モデル)

この度、親元の物置の2階に保管していたTREK Madone5.2(2007年モデル)のフレームを持ち帰り、ツーリング用にフロントシングル改造した。変速もエルゴレバー/デュアルコントロールレバーではなく、Wレバー台座を活用したシングルレバー。パーツは大部分、ストック品を屋根裏収納庫から発掘して利用。

この頃のTREKは、ランス・アームストロングをサポートしていて、ツールド・フランス7連覇という黄金時代。アームストロングはその後ドーピングで追放され、TREKのネガティブ歴史になっているのかもしれないが、ドーピングしたからといって誰でも7連覇できるわけではないし、それはそれで凄いと思ったりもするが、そんなことを言うとドーピングを許容することになり、やはりそういう考えは間違っている。

しかし、アームストロングの功績として私的には、1)トップチューブが地面に平行のホリゾンタルフレームを好んだ、2)操作のシンプルさと軽量化からフロント変速レバーは従来型を使った、の2点があげられ、そのため当時のトレックはカーボンの最上級機種でもWレバー台座付きホリゾンタルフレームを製品化していた。

で、ふと当時のフレームを再度使って、ツーリング用輪行軽量車を作ろうと思いたった次第。

今回は、全部自分で組むことにした。実は30年以上、自転車道楽を続けているのだが、自分でイチから組んだことがなかった。HONJOレーサーを、これもツーリング用にリビルドした際は、BBはショップにやってもらった。スクエアBBだと、チェーンラインを出すのにどこまでクランクを締め込んでいいのか自信がなかったことが大きい。

今ではシマノだとBBはホローテックⅡになっていて、簡単にできそうだ。

コンセプトとしてはシンプルで軽量なツーリング用。

【構成】
チェーンホイール・・・シマノ デュラエース(7800系)フロントシングル39T
 チェーンホイールは今春発表されたシマノGRXをインストールしたかったが、デリバリーがまだなので、どうしようかと逡巡しながら我が家の屋根裏収納庫の自転車部品ストックみかん箱をゴソゴソしていたところ、7800系デュラエースのクランクが見つかり、使うことにした。7800系のチェーンホイールは「カブトガニ」と揶揄されるように、歴代で最高に美しいと言われることも多い7700系デュラエースから突然変異したuglyなデザインだと私も思うが、コンパクトクランクが登場する前でインナー39が最小(PCD130)なので、本来のインナーをシングルとして使うのに丁度良い。ぶっ太くなったアルミやカーボンフレームのデザインに合うように、ボリューミーに仕立てたのだと想像するが、今となっては、そんなにuglyではない。

チェーンホイールが決定すると、次はスプロケットをどうするかだ。フロントシングルにするので、後ろは、そうナーバスなものではなく、9速でも10速でも11速にしても前の変速が無いので大丈夫だと思うが、チェーンラインが不安だ。フロント39Tなので、後ろトップを使う機会も多いだろう。その時、斜めラインで駆動することになり、その程度が。というわけでどこまで効果があるのか判らないが、10速や11速よりも神経質でなさそうな9速後ろでいくことにした。シマノは9速までは、ロードパーツとMTBパーツを混在して使っても実用上問題なかったし。
というわけで、

スプロケット・・・シマノ 9速(MTBのXT用)11-34
 歯数をどうするかは、散々悩んだ。MTB用XTRのチタンスプロケ9速12-32というのも持っているのだが、今回のMadoneのフレームのクリアランスでは太いタイヤは無理で、28Cも難しそうな感じなので、25Cで走るとすると、トップは39×11が欲しいというわけで却下。最大歯数は34までなら最新のアルテグラ後変速機で駆動できるので34にした。

チェーン・・・シマノ デュラエース7701(9速用)
 予備パーツ箱から発掘して、うれしかった。

変速レバー・・・シマノ デュラエース7700系Wレバー
 フリクションモードで使用。フリクションでこれまで困ったことは1度もない。STIでカチッカッチと変速させることは好まない。Wレバー台座の前側は、デュアルコントロールレバーを使う際に使うケーブルリードで埋めた。

ホイール・・・カンパ ゾンダ
  Madoneを完成車で購入した際のデフォルトであるボントレガーのホイールを使おうかとも思ったが、ハブのところのデザインが好きではないのと、走りの新鮮さも欲しいので、新規に導入。ボントレガーの後に使っていたマビック キシリウムK10もあるのだが、変化を求めた。
 タイヤはK10に装着していたヴェロフレックスの25Cを流用。
同一のタイヤとチューブをはめて、ゾンダとマビックK10の重量を実測したところ、ゾンダが前後合計で220g重かった。軽量化にプライオリティを置くのならマビックK10だが、今回はゾンダに期待。

サドル・・・ボントレガーのデフォルト品
 裏側がホッチキスでバチバチ留めてあるような普及品だが、何故かしら実に使い心地がよく、最初のがヘタった後に、市販されてないので補修部品として取り寄せてもらった2代目。気に入っている。

シートピラー・・・ボントレガーのデフォルト品カーボン
 このピラーも実によくできていて、水平調整もやりやすく、メッキの部分も美しい。カーボンピラーなので、サドルバック用のアダプター等は付けず、マジックテープで止める大型サドルバックを使用する予定。

ハンドル・・・リッチー COMP LOGIC CURVE
  アルミ。デフォルトのボントレガーのハンドルも悪くなかったが、前回バラした際にカンパアテナのエルゴレバーが付いたままになっていて、バーテープを剥がして再使用作業をするのが面倒だったので、別のハンドルを使うことにした。

ブレーキレバー・・・東京サンエス ジェイリーチレバー
 別の自転車で使っていて、気に入っているので、Wレバーでエアロの際には一択。
カンパ純正品のノーマルブレーキレバーが廃盤となっている今、秀逸な品である。カンパのブレーキ本体にはシマノのようなリムとの間隔を調整するクイックレバーが無いので、レバー側にクイックボタンがないと、ホイール着脱の際に苦労することになる。このレバーにはカンパレバーと同じ方式のクイックボタンがあり、カンパでもシマノでも使える。

ブレーキ・・・カンパ アテナ(シルバー)サイドプル
 シマノ・アルテグラ(8000系)、アルテグラ(6700系シルバー)、デュラエース(7700系シルバー)との間で、どれにするか迷ったが、カンパのブレーキの効き味の良さとブレーキレバーとの親和性からカンパアテナに決定。一番美しいし。

後ディレイラー・・・シマノ アルテグラRX
  ラフな道を走るわけではないし、スタビライザー機能は要らないのだが、手元にあったのと使ってみたかったから。後34Tまで対応するし。

【組み付けについて】
 最近のシマノ製品については、従前のものとは組付けの注意点等大変化を遂げているので、謙虚にマニュアルや解説書に向き合う必要がある。
 新旧の部品を混在させて使う場合には、古い解説書の助けを借りることもままある。
解説書は捨てずに、全てとっておくのが良いと思う。
 今回の組み付けで、予想以上に時間がかかったのは後ディレイラー。簡単だと思っていたが、シャドウ方式を扱うのは初めてだったので戸惑った。
 あと、ブレーキの組み付けについても簡単に考えていたが、沈頭ナットの長さがフレームに合ったものでないといけなくて(当たり前だが)、ナットや調整座金をショップのように所有していない個人としては、一瞬絶望的になった。パーツを取り寄せないと作業が進まないかと思ったが、考えてみれば、今回のフレームを以前現役で使っていたときのものがあるわけで、それをインストールすることで解決したが、新品のフレームに新品のパーツだったら、アウトであった。パーツにデフォルトで付いていた沈頭ナットは短いものだったので。

【完成車重量】
実測で7.6Kg。ホイールをマビックK10にすれば7.4kgアンダーになる。

【フロントシングル化によるギヤ比について】
 現在、手元にあり、ツーリング&ロングライド系で使用頻度の多い8台の自転車についてギヤ比をまとめてみた。
 今回のTREK Madone5.2 39×11~34は ギヤ比3.55~1.15でケイデンス90の場合トップで40.4Km/h。
  ロードレーサー(コンパクトギヤ)のエモンダ(50×34 12~28←かなりeasy登坂用)でギヤ比4.33~1.21 ケイデンス90のトップで49.4km/h。
 ツーリングで使いやすいと感じていて、体感的にもとても良く走って乗り心地の良いグランボア650Bデモンタ(43×27 14~23)はギヤ比3.07~1.17 トップで35.0km/h。トップはもっと重くてもいいと思ったりもするが、ツーリングだからOK。峠の下りでガチガチ踏まなくても。

下表には載せてないが、最新鋭(当社比)グランボアoyakataランドナー(44×30 12~
30)だとギヤ比3.67~1.00、ケイデンス90トップで41.0km/h。どこでも行ける。

後ろのギヤは6枚あれば十分、5枚でも不満は感じないので、9枚もあれば十分であろう。
レースで使うのなら、そういうわけにいかないが。

表:ギヤ比の一例:「速度」はケイデンス90の場合
   ※表の部分をクリックすると拡大します


写真:駆動部分 チェンホイール78系デュラ39Tシングル。後ろ変速機アルテグラRX。

ジェイリーチ ブレーキレバー
写真:東京サンエス ジェイリーチブレーキレバー

カンパ アテナ サイドプルブレーキ
写真:カンパアテナ ブレーキ と シングルレバー

写真:シマノ鈴鹿ロード25回大会に出走した際のシールが残存。アームストロング7連覇のデカールもみえる。

TREK madon5.2
写真:TREK Madone5.2 ツーリング改 2019年7月
                                  以上

フロントシングルにするということ2019/07/16


TREK madon5.2
写真:TREK Madon5.2

このたび、2007年モデルのTREK Madone5.2をフロントシングル化した(既報)。
で、実走してみての感想。
写真:フロントシングル39T。11-34T。

フロントシングルといっても、設計時からそうなっている自転車、例えばKONA ROVE  Ltd では、フロントWに改造しようという気持ちにはならない。フロント変速機をバンドでつけると、自転車のチャームポイントである「レイノルズ853」デカールが隠れる、なんていうことはさておき。

写真:KONA ROVE Ltd

レイノルズ853
写真:レイノルズ853デカール

ところが、TREKの場合、ホイールにカンパのゾンダをインストールし、タイヤも25Cということもあってか、ツーリング用途だと言い聞かせても、峠の下りや緩い下り基調では、やたらスピードのノリが良く、ホイールから「おりゃ~っ、もっと踏め~、回せ~」という声が聞こえてくるような気がして、ギヤが足りないという感覚になってしまう。以前使っていたマビックのキシリウムK10は紳士的で、そんなことを言われた記憶はないのだが。

競技やチーム練習会なら、やはり前39Tというのは、よほどのケイデンス番長のような人でないと、難しいものがあるだろう。回転力養成マシーンに特化して使うならともかく。日本のホビーレース(ヒルクライム除く)で、もしフロントシングルにするなら、アウターのみだ。

機能的には、やはり前2枚が良い。アウターと前変速機を付けたところで、その重量で走りが重くなるなんていうことは絶対に無いし、、なんて思ったりもしたが、でも、そうすると、単にちょっと古いロードレーサーに乗っている人、なだけになってしまって自分自身の満足感として、面白くない。

まあ、ギヤを使い切る、という前2枚のロードレーサーベースの自転車ではなかなか経験できない楽しみを味わって、シンプルライドとすることにしよう、と思った次第。