米山悟「冒険登山のすすめ」ちくまプリマー新書2016 ― 2016/11/30
「なるべく天然の山を天然の方法で登りたい」
「人で混雑する人気ルートや紅葉シーズンの百名山のような山は、ここでいう山ではありません」「人で混んでいる山はもはや山ではなく、公園のようなものです」
「自由を感じるための山登りは、人とほとんど会わないルートや、道のないルートです。それは特殊な場所の話かと思うかもしれませんが、それは違います。そういうところはたくさんあり、山域の面積のほとんどを占めています。多くの人は、有名な山のそのうちいくつかのルートしか目に入らないだけなのです」
米山悟「冒険登山のすすめ」ちくまプリマー新書264 筑摩書房2016より
久々に感動する山の本に出会った。最近刊行された山の本では、宮城公博「外道クライマー」集英社インターナショナル2016 が面白かったが、この本は、真面目に面白いし、共感できる。
地下足袋や冬山イグルー山行のすすめには、ちょっと実力的に、私などお呼びではない感じで引いてしまったが、全体として、実践に裏打ちされた知性が伝わってきて、秀逸な本だと思った。
「筑摩プリマー新書」というのは高校生向きのシリーズ本のようであるが、55歳のオヤジが読んでも、とってもためになる。もっとも、肝心の高校生が読んでどう思うかは、謎だ。
「高校生向け」の本というのは、名著が多いのか、自転車の分野でも、今でも折に触れて読み返しているのが 五十嵐高「サイクルスポーツ攻略法」岩波ジュニア新書137 岩波書店1988。
この本は、「単なる情報本ではなく、乗り方・買い方・オーダーのしかたから、走る自転車の力学までこれ一冊でわかってしまう。ただしこれは、単なる情報本ではないぞ。自転車ブームを見直し、未来の都市と交通のことも考える、自転車乗りのバイブルだ」と裏表紙に内容要約文が書かれている。
自転車本の相当数に目を通して四半世紀以上過ごしている私にとっても、「自転車本の古典」のひとつとしてスペシャルな名著だと断言したい。
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