鎧駅、浜坂から城崎へ但馬御火浦(たじまみほのうら) ― 2022/11/27
写真:兵庫県香美町鎧:自転車の道路はJR鎧駅で行き止まり。下の道路は集落の中を通って海で行き止まり。
宮本常一編「僻地の旅」修道社1960 という本を以前古書店で入手し、時々読み返したりしている。その中で写真・文筆家の大竹新助が「山陰の辺境」と題して城崎から鳥取にかけての海岸沿いのエリアについて描いている。
リアス式海岸の湾奥に集落が立地。自動車の走れる道路は高度経済成長期を経てようやく開通。それまでは船と歩きの細い道、隣の集落へは鉄道線路を歩くことが移動手段だった。
船と徒歩に頼る生活は、なにも兵庫県北部から鳥取県にかけての漁村に限ったことではないのだが、鉄道の本線(山陰本線)が走っているすぐ側の集落がそうであることが東京に住む大竹新助には意外だったようだ。「鎧駅」のある「鎧」集落や、鉄道が通過していても1959年(昭和34年)まで駅がなくて「陸の孤島」といわれた余部(あまるべ)集落がその典型。
かつて「日本の僻地」といわれたこのルートを帰省の行き帰りに何度か自動車で通過しているが、その度に今度は自転車で走りたいと思うのであり、このたび実行した。
図:浜坂から城崎へのルート。
赤線は登りで青線は下り基調(Mac”Trail Note”ソフトで作成)
写真:JR浜坂駅をスタート
写真:浜坂の街並みを抜け、岸田川を渡る
写真:尾根を越えて、ダウンヒルで「三尾(みお)」の漁村
写真:「三尾」「但馬御火浦」碑があった
写真(上3枚):人けのない海沿いの道を走り続ける。天気が良いので安心。
写真:余部埼灯台。国内で一番標高が高いところにある灯台とのこと。
遠くに灯台が見えた時、歩きでないと行けないかと思ったが、灯台まで舗装路だった。
写真:余部埼灯台付近からの眺め
写真:「御崎」集落。海面から150m以上高い孤立した立地。平家の落人部落。漁村的ではない。
写真:海沿いのクネクネ道を下って、余部(あまるべ)集落手前。余部鉄橋が見える。
写真:余部集落内からみた、余部鉄橋、余部駅。かつては東洋一の高さを誇った。
写真:コンクリ製の2代目鉄橋に架け替えられた余部鉄橋
余部鉄橋を渡っていた回送客車列車の客車部分が強風で落下し、カニ加工場で働く地元の主婦5名と車掌が亡くなったのは1986年12月28日。私は、ちょうど年末の出勤当番で会社にいて、事故の一報を聞いて驚愕した。
余部鉄橋が竣工したのは1912年(明治45年)。それをもって山陰線が全通。
明治の早い時期に鳥取から京都へ出た私の本家の方のアルバムに余部鉄橋完成時期の写真が残っていた。
写真:余部鉄橋、竣工時期に撮影されたものと推察される
余部鉄橋の上り香住側、トンネルをいくつか抜けたところにあるのが鎧駅。
ホームから海が望め、ポスターで紹介されたりロケ地に使われたりしている。列車で通過する度に訪問してみたいと思っていた。道路は駅で行き止まり。生活道路に、車で乗り入れるのは憚られ、自転車だと好都合。
写真:自転車の道は鎧駅で行き止まり。下の集落の道は海で行き止まり。
写真:鎧の集落
写真:鎧駅へ
私の受験や帰省、母の疎開、父の出張、祖父が御大典で上洛する時もこの鉄路を通ったのは確かで、同じような車窓風景を見たかもしれない。
写真:鎧駅
写真:鎧駅 ホームより海を望む
写真:鎧駅
鎧から県道へ上がる道には、文化年間のお地蔵さんがあった。
香住の街を抜け、何度か海沿いのアップダウンを繰り返す。
海沿いの県道開通記念碑があった。難工事、住民の悲願だったのだろう。香住区相谷。
写真:「県道開通記念 香住久美浜線 昭和45年7月」
但馬の海岸をひた走る。
写真:香住ー竹野間
竹野からは鋳物師戻峠で城崎へ
写真:鋳物師戻峠
写真:城崎温泉
このまま旅館に泊まれば最高なのだが、輪行で浜坂に戻り、帰宅することに。
写真:城崎からデモンタブル方式で輪行。キハ47の車内。
写真:浜坂駅に到着
夕方5時過ぎにはすっかり暗くなった浜坂駅に到着。京都の自宅へはクルマで帰る。
◇走行日:2022年11月21日(月)
◇使用自転車:グランボア650Bデモンタブル
◇行程:京都自宅4:15=(自動車)=6:40ローソン豊岡福田店(朝食)7:00=7:43浜坂駅8:06〜8:54三尾〜10:08余部埼灯台10:20〜10:45余部(昼食)11:30〜11:47鎧駅12:10〜12:30香住〜14:10竹野〜14:30鋳物師戻峠〜14:42城崎(輪行)城崎駅16:21=17:18浜坂駅17:25=(自動車)=20:30京都自宅
◇峠:鋳物師戻峠(248m)
*写真はGoogleフォトでも
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