グランボア ミラン カンチブレーキ ― 2018/10/07
写真:グランボア ミラン カンチブレーキ
この度めでたく納車された、”グランボアoyakata650BランドナーER”には、サイクルグランボア(株)が開発製品化したカンチブレーキ「ミラン」がインストールされています。
その開発顛末については、グランボアのブログ(2017.12.4ブレーキの製作)
を参照してください。
36,000円もするカンチブレーキですが、ビジュアル的には、正直、おとなしい地味なブレーキにしか見えません(個人的感想)。物理学を学んだり、工学的経験値が豊富だったり、自転車部品への教養豊かな方ならインスピレーションが働くのかもしれませんが、凡人のサイクリストには。
随分前になりますが、仕事で酒業界を担当したことがあり、その時、灘の大手酒造メーカーさんの話で今でもよく覚えている話があります。
「メディアの方とか評論家の方は、手作りということに結構価値をおかれたりしているようですが、例えば高等小学校を出てこの道50年、精米に従事している方がいらっしゃるとします。設備投資がまわらない酒蔵で、昔ながらの方法で、その米磨き職人さんが心を込めて米を磨き、酒を造ったとしても、酒は酵母の生化学反応で出来るわけで、旧来の方法で心を込めて磨くということと出来上がった酒の品質の関係度合いは大きくはありません。それよりかはちゃんとした設備を入れ、旧来の方法よりも正確に効率良く米を磨いて酒をつくったほうが、いいとは思いませんか。人力でやって意味ある仕事と、さほど関係ない仕事とあるのです」。私の解釈も入って、そのままの言葉ではないと思いますが、そんな感じ。
カンチブレーキ「ミラン」についてはどうでしょう。大メーカーなら、所有のプレス機や鍛造設備で安価に効率的に製造できるものを、「手作り」で人的コストが大きいための結果であれば、さほど魅力的ではありません。
設計デザインの創意工夫への対価に加えて、汎用のプレス機では対応できない良い材質を使っているとか、機械よりも人力の精度が優れていることも多いので、そういう部分のコスト構造なら納得。ただ、精度といってもカンチブレーキの場合、本体がどんなに精度よくても、ブレーキシューのセッティング誤差というかやり方で、製造公査など問題にならないほどのばらつきが生じるでしょうから、パーツの精度にどこまで意味があるかは、よくわからないような気もします。
前フリはそれくらいにして、自転車パーツは、やはり使ってナンボ。本日インプレッション走行をしてきましたのでその報告まで。
コースは自宅から山陰本線の保津峡駅往復。途中に「六丁峠」という結構な傾斜の峠があります。直線の高速ダウンヒルから一挙に減速、といったシーンはありませんが、急勾配でコーナーが多いツーリング的シーンには合致しています。
結果、「ミラン」の感想としては、「使うとすごいんです!!」。
そのおとなしい外観とは違った意外な印象。きわめて現代的な味付けで、ブレーキレバーを引くと、「私はよく働きますよ!」といったメッセージがすぐに伝わってきます。
グランボアのセンタープルブレーキ「シュエット」と似た味付けで、そのあたりは開発者である土屋さんの好みなのかもしれません。
グランボア製品を求めるユーザーとしては、これまでマハック等のブレーキを使ったことがあるけど、それよりも性能が良くて美的センスも優れたものを、少し値が張っても欲しい、飲みに行くのをガマンすれば十分ペイするので、グランボアのにするか、といった感じなのではないでしょうか(勝手な想像)。
制動力についてはナンの心配もない、というか、とてもよく効きます。
シマノのXTRカンチよりも断然。
写真:シマノXTRカンチブレーキ
ここでいきなりXTRカンチの登場ですが、実は、本日、パナソニックのシクロクロスフレームに換装した初乗りで、グランボアの後、まったく同じコースを同じようにパナシクロXTRで走ったインプレッションがそうなのです。ビアンキ シクロクロス(カンビアコルサ=イタリア製オーダー品)に装着していたXTRと比較しても同様です。
もちろん、ブレーキの性能というのはブレーキ単体だけではなく、フレームとリムとタイヤとブレーキレバーのマリアージュですから、簡単ではありません。
とはいっても、パナシクロフレームは、シマノのカンチを使用することを基本として設計されているでしょうし、そこのところは公平な比較です。
ちなみにグランボアのフレームはマハックのブレーキ台座で設計されていますので、逆にパナシクロのフレームにミランを装着すると、想定される性能が発揮できない可能性は高く、逆もまた真で、グランボアフレームにXTRだと、もっと効かないでしょう。
TOEI650Aに装着しているミスターコントロールカンチとの比較はどうでしょう?
今日は乗っていませんが、このコースはこれまでに数え切れないくらい数々の自転車で走っており、カーブのひとつひとつ、ブレーキの感覚は覚えています。
ミランの方が良く効くと断言できます、すみません。
写真:ミスターコントロール カンチブレーキ。ビジュアル的には力強い。
パーツの組み合わせは下記のとおりです。
*グランボアフレーム-グランボアパピヨンリム-グランボアエキュルイユ650×38B-吉貝GC202Qレバー
*パナソニック オーダー シクロクロスフレーム(クロモリ)-マビックOPEN4リム-グランボアシプレ700×30C-シマノアルテグラ6600レバー
*TOEIヤマネスペシャル2フレーム-アラヤ20Aリム-グランボアルナール650×32A-吉貝DC204Qレバー
まとめとして、グランボア ミラン はその穏やかな外観に似合わず?、とてもよく効くブレーキですが、極めて現代的というか、ガツンと効くタイプです。
実用的にも美的にも一流品といって間違いありません。最初に別の品を買って買い換えるよりも最初から良い品を装着したほうが結局はお得ですが、駄品を使ってこそ、良い品がわかるというのも真ですし、まあ趣味ですから、そこはお好みで良いのかもしれません。
これまで私が六丁峠を走って一番感動したブレーキはというと、このブログでも前に書きましたが、カンパ コーラス です。効く!と感じてからのジワーとした感覚、手のひらに伝わる官能評価が、さすがカンパ、気持ちいい、というところです。サイドプルですしレーサー用ですからランドナーやシクロクロス車には装着できませんが。
失礼しました。
※追伸:グランボア ミランへの改善お願い
タイヤを外す際、カンチブレーキの左右のワイヤーがポロンと外れるので、輪行の際等で紛失するリスクがあり、何か改善策が欲しいです。マハックの千鳥でしたら、ワイヤが外れないのですが、せっかくのグランボアオリジナル球形千鳥ですし、、。
写真:グランボア シュエット センタプルブレーキ
写真:カンパ コーラス サイドプルブレーキ
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