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峠の箱庭、「能勢」2021/11/21

5万分の1地形図を眺めていると、峠の記載が多いエリアというのは、日本の各地にある。京都北山エリアや「能勢」も、そのひとつ。

国土地理院がどういう基準で地形図に記載する峠名を定めているのかは知らないが、モータリゼーション以前から人や物資の往来に使われて、地域で認識されている箇所なのかもしれない。山道を越えて往来が必要な何かがあり、文化も伝播し、歴史的なものが多く残るエリアに多いといえるだろう。近年に開削された道路では、峠状の部分があっても、新たに命名されることはないと思う。

「能勢」は摂津の国の最北部、今でいう大阪府に属する。
「能勢電鉄」という私鉄が阪急宝塚線「川西能勢口」から延びているが、今回いうところの「能勢」には通じていない。通常、鉄道の会社名や路線名は、出発地や到着地を使うことが多いので、不思議に思っていたが、能勢電鉄の終点の「妙見口」駅は、以前は「東能勢村」であったので、齟齬はないのだろう。

今回いうところの「能勢」は、現在の行政区の能勢町とする。
単純ではない盆地状の地形。このエリアは、幕藩体制時、旗本領と藩領が入り組んでいたこともあってか、現在に続く市町界もわかりにくい。単純に分水嶺できれいに行政区が別れているわけではない。複雑な所領関係が多くの峠名を生んだのかもしれない。

今回、自転車で地形図記載の峠を全部回ってみることにした。

地形図記載等の峠は下記のとおり。括弧内は標高。
[南を接する豊能町と]
・野間峠(476m)
・大槌峠(295m)国道477号線
[北西を接する丹波篠山市と]
・天王峠(499m)国道173号線
[北を接する亀岡市と]
・ひいらぎ峠(272m)国道477号線・・・地形図には何故か記載がないが、峠には石柱があり関所もあった場所でもあり、記載。
[能勢町内の峠]
・はらがたわ峠(559m)
・浮峠(280m)
・篠口峠(288m)
・暮坂峠(312m)
・逢坂峠(302m)あいさかとうげ=相坂峠
・明月峠(269m)
・坂井峠(309m)
・仏坂峠(310m)
・猪ノ子峠(275m)
・堀越峠(385m)
以上、14の峠。

■DAYS1:2021年10月30日(土)
*使用自転車:グランボア650BランドナーOyakata
*行程:自宅~JR嵯峨嵐山駅=(輪行)=JR園部駅~福住~天王峠(499m)旧道~はらがたわ峠(559m)~浮峠(280m)~坂井峠(309m)~猪ノ子峠(275m)~野間峠(476m)~堀越峠(385m)~ひいらぎ峠(272m)~亀岡~老ノ坂~自宅
*走行キロ:99km

※走行ログ(クリックして拡大)

山陰線、嵯峨嵐山駅から園部まで輪行。
写真:輪行の車内

園部駅
写真:園部駅

園部駅をスタート。どちらに向かっても走り良いフィールド

写真:園部駅から、しばし走ったところ

天引峠(トンネル)を越えて、福住へ
写真:福住の電器屋さん

福住から天王峠で能勢を目指す。

写真:天王峠(旧道)、関所跡

写真:天王峠

峠には、阪鶴国道開通記念碑があった。碑文は旧道を向いているので、隧道ができたのはその後のこと。
阪鶴国道開通記念碑
写真:阪鶴国道開通記念碑

峠(今の道はトンネル)を越えると、能勢町の歓迎看板。

とはいえ、実は能勢町への行政区画の境は、旧道の峠のずいぶん下にある。このエリアは歴史的に所領が入り組んでいて、今に至るまで境界は複雑。
写真:現在の行政区画での能勢町境界

はらがたわ峠への途中に、興味をひく建物があったので止まってみると昼食も可能だったので、一休み。

写真:ラ・メゾン・ド・プロヴァンス

「ラ・メゾン・ド・プロヴァンス」というお店で、プロヴァンス風リゾットが美味であった。

写真:「ラ・メゾン・ド・プロヴァンス」

はらがたわ峠
写真:はらがたわ峠

はらがたわ峠からのダウンヒルは、山深い感じで気持ちよかった。
次の浮峠は、まさに箱庭的な峠。

浮峠
写真:浮峠

次の坂井峠は、平成6年発行の5万図では車道は無い。その後車道が開通したということ。

坂井峠
写真:坂井峠

次の猪ノ子峠は、以前走った時には不気味な印象だった。下からみると、斜めに道が登っているのが見えるが、なんか荒廃している感じだった。
今回は、天気がいいこともあってか、不気味な感じはしなかったが、途中の老人施設の先は相変わらずダートになった。

猪ノ子峠
写真:猪ノ子峠、迂回をすすめる看板

走っていくと、歴史を感じさせる石造物があり、ツーリングのフィールドとして良い雰囲気であった。先刻通過した、坂井峠が遠望できた。
坂井峠遠望
写真:猪ノ子峠道より望む、坂井峠


写真2点:猪ノ子峠道の石造物

峠を下って、天然記念物の「野間の大ケヤキ」

野間の大ケヤキ
写真:野間の大ケヤキ

次は野間峠。今回の峠の中で、いちばんハードな峠であった。

野間峠(トンネル)
写真:野間峠(トンネル)

能勢からの上りはきつかったが、峠を越すと、すぐに集落。しばらく走って堀越峠を目指す。本来、堀越峠は東から能勢への入り口の峠のような気がするが、峠の東にある杉原という集落が能勢町のため、町内の峠に今回は分類した。

写真:堀越峠

峠を下って、歌垣地区を北上して、亀岡市との境の、ひいらぎ峠を経て、帰宅。

ひいらぎ峠
写真:ひいらぎ峠

■DAYS2:2021年11月20日(土)
*使用自転車:TOEI650Aランドナー
*行程:自宅~老ノ坂~亀岡~ひいらぎ峠(272m)~篠口峠(288m)~暮坂峠(312m)~相坂峠(302m)~仏坂峠(310m)~大槌峠(295m)~名月峠(269m)~宿野~畑野~亀岡~老ノ坂~自宅
*走行距離104km

※走行ログ(クリックして拡大)

今回はひいらぎ峠から能勢に入る。

ひいらぎ峠
写真:ひいらぎ峠の能勢町看板

ひいらぎ峠
写真:ひいらぎ峠

旧道を走って篠口峠を目指す。篠口峠は、地形図で破線なので、ちゃんと通れるか心配したが、よく刈り込んではっきりした良い道であった。押しで歩き。

篠口峠入り口
写真:篠口峠入り口

笹口峠道
写真:篠口峠道

笹口峠
写真:篠口峠

峠を下るとあっけなく舗装路に出るが、その手前に名前の通りの篠の箇所があった。

写真:篠口峠道

舗装路に入って北上する。気をつけてないと通過しそうになるのが、暮坂峠。

写真:暮坂峠

次は相坂峠。規模は大きくないが、まあ峠らしい峠。峠の箱庭というのにふさわしいかも。

写真:相坂峠

峠を下って、古い道を行く。
橋の名称の手彫り感が素敵だ。

月形橋
写真:月形橋

写真:ひずめはし。牛馬が通行する道だったのだろうか。

そして、仏坂峠への道に入る。よい感じ。

仏坂峠道

仏坂峠には、ちゃんと仏様関連の石造物があった。
仏坂峠
写真:仏坂峠

その次は、大槌峠へ。川西能勢口からの直通ルートで現在では能勢へ入るメーンだろう。

大槌峠
写真:大槌峠

一庫ダムの知名湖岸を走って、再度能勢町に入り、今回の峠めぐりの最後は名月峠。

名月峠
写真:名月峠

写真:名月峠、名月姫の説明板

名月姫の墓
写真:名月姫の墓(中央が名月姫、左右は配偶者と父親)

峠からは旧道を下った。旧道だと、名月橋に出会った。

名月橋
写真:名月橋

宿野のお店で昼食をとり、そのまま北上して亀岡市広野に抜けた。能勢町と亀岡市の境には、特に峠の名称はついていない。

写真:能勢町宿野と亀岡市広野の境

広野からは、以前チームの練習会でよく走った道があるが、旧道を探して走ってみたら、まことに雰囲気の良い、ツーリング向けのよい道が残っていた。

写真:亀岡市広野

今回も、同じく、亀岡から老ノ坂で帰宅。
次々に峠をクリアしていく醍醐味と個性を味わえた、ショートツーリングであった。

コメント

_ takaginotamago ― 2021/11/22 05:41

随分よくばりな朝日旅行の峠めぐりツアーですね。でも、天王峠のように麓集落の福住からちゃんと登っているところは、峠に造詣が深い名添乗員が同行しているだけあって、さすが!

じつは、先週、コロナ第5波で順延していた母の初盆の法事で帰省しました。母も山好きだったので、法事に先だって12日に深山に追善登山をしてきました。コースは、豊中-妙見口-【大槌峠】-野間-【猪ノ子峠】-【明月峠】-山辺-天王-《深山》-(下山後、天王側から【天王峠】と【はらがたわ峠】にデンをつく)-宿野-【相坂峠】-野間-【野間峠】-余野-【無名峠(切畑から銭原に越える)】-泉原-【無名峠(泉原から勝尾寺川に越える)】-豊中 以上、無名2つを含め9つ。
母は愛車の旧型コロナ(RT40)新型コロナ(RT100)で能勢の知人宅を訪れていたので、峠めぐりはクルマです。使用自動車:スバル・レガシィ・グランドワゴン・ランカスター(←長っ、正式なフルネームです、笑)

_ takaginotamago ― 2021/11/22 06:03

添乗員さんへの追加情報です。
行政区画の変遷を図示した地図です。
「歴史的行政区域データセットβ版 ベクトルタイル地図」
https://geoshape.ex.nii.ac.jp/city/vector/

_ 管理人 ― 2021/11/22 10:14

いつも、ありがとうございます。お母様、能勢を巡っていらっしゃったとは奇遇です。
スバルは副変速機付きで貴重ですね。自動車税が高くなる悪法にもめげず、大事になさってください。
行政区画地図、ありがとうございます。平成の大合併で、もうわけがわからなくなってしまって、困っています。南丹市、と表示されていても、園部と美山では、全然違う場所ですし、距離表示が市町村名だけでは、全くわからないですね。クルマなら誤差のうちで済む場合もあるのかもしれませんが。

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