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今庄から高倉峠、冠山峠、越前大野、温見峠、樽見鉄道2016/09/19

越美国境温見峠(えつみこっきょう ぬくみとうげ)、越前(福井県)と美濃(岐阜県)の境にある峠で、国道157号なのだが、”酷道”と呼ばれて一部のマニアの間では有名。

サイクリストの間でも、その名は知られている。

以前から走ってみたいと思っていたのだが、通行止めになっていることもしばしばで、今回、ようやく実行した。

せっかくなので、近くにあって、地形図を眺めているとなかなか魅力的に思える高倉峠(こうくらとうげ)、冠山峠も絡めて、越前大野に1泊するプランにした。終着は樽見鉄道の樽見駅。出発地は、北国街道の宿場として味わいがある、今庄にしよう。

久しぶりの完全輪行。自転車も久しぶりに連れ出すTOEI650A。1987年に購入したものだが、タイヤは「グランボア オルソンエース=650×1/2A相当」に先日交換。その前は、タイヤはアルプスブランドのものを使っていたが、オルソンエースに替えて、走りが見違えるように軽くしなやかになった。「タイヤはフレームの七難を隠す」のか「タイヤはフレームのポテンシャルをしっかり引き出す」のか、どちらでもいいが、とにかく走行感が 断然改善し、本番ツーリングに連れ出す気持ちになった次第。

フロントバック装着方法をリクセンカウルにして、キャリアは外した。フロントバックはモンベルの防水タイプを初使用。カメラの頻繁な出し入れには向かないので、コンパクトカメラをジャージの後ろポケットに入れて走った。

雨が心配されたが、幸い、大きな崩れはなく、走れた。

温見峠の道が「酷道」と呼ばれているのは知っていたが、正直、たいしたことないと思っていた。自動車では大変でも、自転車なら大概、なんでもない。土砂崩れ があっても担いで越えられることが多いし、人為的な通行止めでない限り、たいていの場合、通過には苦労しない。舗装してあれば、自動車が走れるところなら、どんな急勾配でも登れる。登山、その中でも沢登りもやっているので、沢登り感覚でいうと、自動車の走れる道はハイウェイ以上。道迷いなく人里につながる安全地帯である。

と思っていたが、実際走ってみて国道157号線が「酷道」であることは認めざるを得ない。その核心部は、峠付近ではなく、岐阜県側の根尾黒津と根尾能郷の間の悪絶ゴルジュ地帯である。根尾黒津を過ぎてダウンヒルを続けていて、右カーブ正面の視界に飛び込んできた、あまりにも悪絶な、規模の大きいゴルジュ入口をみて、一瞬、信じられなかった。こんなところに突っ込んでいくのかと。断崖絶壁に、無理に通したであろう道路がへばりついているのが見える。

停車して写真を撮ろうと思ったが、ブレーキをかけてバランスを失うと危険なのと、なんだか、留まってはいけない場所だという気配を感じ、そのまま通過した。残念ながらその悪絶さを伝える写真は無い。

豪雪地帯なので、排雪のためガードレールを設置することができず、路肩には何もなく切り立った崖になっている。

もっとも、自動車ならガードレールに助けられることがあるかもしれないが、自転車なら、仮にガードレールがあっても、ガードレールにぶつかったりすると人間だけは確実に前方に放り投げられて落下するので、ガードレールの有無は安全に関係ない。転倒して路面を滑走した場合にはガードレールに助けられることがあるかもしれないが。

崖の高さは100mであっても、10mであっても、落ちた人間へのダメージの結果としては同じである可能性が高いが、やはり高い崖をへつるように掘削されたガードレールのない道というのは、怖い。よくこんなところに道を通したな、と思った。登山に例えると黒部川の水平歩道の ような感じ。

対向車が来たら、自転車でも止まらないといけない。路面は雨で濡れている。

スリルを感じるために自転車ツーリングをしているのではないし、積極的に走りたい道ではない、この道が「酷道」と呼ばれることに納得した次第。

温見峠全体では、福井県の大野平野を過ぎると、悪絶ゴルジュ地帯を過ぎた根尾能郷までは集落が無く、無住地帯をこれだけ長く走れるところは本州では数少ないのではなかろうか。北上山地の安家川沿いを走った時も、「なんと人気(ひとけ)の無い寂しいところだ」と思ったが、それ以上だ。

コンビニはおろか自販機も、もちろん無いが、真夏でも道路の横からの湧き水や沢は豊富なので、飲み水には困らないであろう。

スケールの大きな峠越え、ほぼ一日かけて日本海側から太平洋側へと、ひとつの峠を越える。充実感は数日後であってもしばらく脳内と身体に残り、今思い返しても、心が満たされる。こんなに感動を与えてくれた峠は、私にとって、他には無い。

[使用自転車] TOEI650A ランドナー
[峠] 高倉峠(こうくらとうげ: 956m)、冠山峠(かんむりやまとうげ:1,050m)、温見峠(ぬくみとうげ:1,020m)
<記録>
2016年8月27日(土) 京都駅6:58=(サンダーバード1号)=7:57敦賀8:06=8:22今庄10:10~10:50伊藤氏庭園~12:34高倉峠~13:17徳山分岐13:28~14:22冠山峠~15:30池田町~17:10越前大野:17:35弥生旅館
8月28日(日)泊地7:45:大野市街地8:05~8:30越前田野駅~8:55五条方発電所~9:20真名川ダム~9:40仙爺谷橋~10:00若生寺大橋~10:37雲川ダム(トンネル)~11:06小さい峠(熊河川と温見川)~11:20温見集落~12:10温見峠~12:36猫峠分岐~12:52猫峠~13:12根尾黒津~(悪絶ゴルジュ)~13:35根尾能郷~14:00樽見鉄道樽見駅14:58=(樽見鉄道)=16:02大垣16:34=18:12京都

北国街道 今庄
写真:北陸本線今庄駅がスタート地点

高倉峠
写真:越美国境 高倉峠(こうくらとうげ)

冠山峠
写真:越美国境 冠山峠

越前大野の町並み
写真:越前大野の町並み

国道157号線 温見峠は
写真:国道157号線、温見峠へ

温見峠
写真:国道157号線 温見峠

樽見鉄道樽見駅
写真:樽見鉄道樽見駅。輪行して大垣からは新快速で帰る。


詳しくは Googleフォトで(72枚)

ルート1日目 高倉峠 冠山峠
温見峠